【飲食店】事業再構築補助金の活用の手引き
飲食店が事業再構築補助金を活用すべき理由
事業再構築補助金は当初予算額1兆1,485億円、追加予算額6,123億円となっており、かなり大きな予算が割り当てられている補助金となっています。
このような大きな予算が割り当てられた新しい補助金制度ができたのは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に他なりません。
飲食店は、新型コロナウイルスによる休業要請、時短要請、社会全体の自粛ムードにより、売上にとてつもなく大きな影響を被っています。
飲食店・カフェが新型コロナウイルスの影響により売上⾼が10%以上減少し事業再構築を計画している場合は、事業再構築補助金を申請し、中小企業庁が準備してくれている補助金制度をしっかりと活用されることをおすすめします。
飲食店の事業再構築補助金の申請
第1回公募において、約22,000件の応募がありましたが、その中に飲食店・宿泊業の申請が約3,000件あり、申請数の多さでは製造業に続いて多くなっています。
飲食店他約3,000件÷全体約22,000件=約15%
飲食業の採択事例
飲食業の事業再構築と一口に言っても、飲食業内の事業再構築、飲食業→飲食業以外への事業再構築、飲食業以外→飲食業への事業再構築とパターンが分かれます。
飲食業内の事業再構築
・フレンチレストランシェフが作るオンラインスイーツ商品の提供
・熟成寿司の宅配事業
・蕎麦屋から「弁当販売・デリバリー事業」
・キッチンカーによる販売開始
・高品質割烹料理を急速冷凍を中心とした製造・販売で
・セントラルキッチンを新設した高齢者向宅配事業へ
・居酒屋からこだわりのそば店への転換
・職人が焼くウナギ蒲焼を全国へ
・袋詰め機の導入による一般向けラーメンセットの開発・販売事業
・から揚げの持ち帰り店を出店
・レストラン事業からからスイーツ事業
・焼肉店事業への参入
・非接触型飲食店事業
飲食業→飲食業以外への事業再構築
・ミシュラン掲載の料理屋の強みを生かした冷凍食品製造直販業
・エコ資源・人的資源を活用したペットフード加工事業の開始
・カフェが挑む~オンライン型カフェスクール等の多角化展開
・安心安全な原材料を使った食を提供!ペット向け食品販売事業
・最新凍結技術を用いた回転寿司ネタ専用の水産加工場への転換
・果実酒製造・卸・販売計画
・店頭における惣菜、精肉小売事業
・飲食(カフェ)事業から住宅型有料老人ホーム事業へ
飲食業以外→飲食業への事業再構築
・店舗プロデュースノウハウを活かした飲食店
・AI、先端冷凍技術による簡易オペレーションを実現した海鮮丼屋
・油そば専門店立ち上げ
飲食店のリーフレットの活用イメージ
喫茶店経営
飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。
居酒屋経営
オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
レストラン経営
店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施。
弁当販売
新規に高齢者向けの食事宅配事業を開始。地域の高齢者化へのニーズに対応。
飲食店の事業再構築指針の手引きの例
事業再構築指針の手引きでは、飲食サービス業の事業転換の例として、「日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合。」が挙げられています。
要件1.製品等の新規性要件 | 要件①過去に製造等した実績がないこと | 過去に焼肉店を営んだことがなければ、要件を満たす。 |
要件②主要な設備等を変更すること | 焼肉店の開業に当たって、新たに卓上備え付けのロースター等の設備や内装の改装などが必要であり、その費用がかかる場合には、要件を満たす。 | |
要件③定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合のみ) | 日本料理店と焼肉店では、提供する商品が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しいことを示すことで要件を満たす。 | |
要件2.市場の新規性要件 | 既存製品等と新製品等の代替性が低いこと | 例えば、大衆向けとして沖縄料理を提供している日本料理店が、高価格帯の商品を提供する焼肉店を始める場合には、異なる顧客のニーズに応えるものであることから、焼肉屋により、日本料理屋の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれないと考えられることを説明することで、要件を満たす。 |
要件3.売上高構成比要件 | 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定すること | 「日本料理店」と「焼肉店」は、日本標準産業分類の細分類ベースで異なる分類がなされている。従って、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定していれば、要件を満たすこととなる。 |
夜営業から昼営業への変更は事業再構築になるのか
業態転換とは何か
飲食店の夜営業から昼営業へのシフトは、「新分野展開」でもありませんし「業種転換」や「事業再編」でもありません。
夜営業から昼営業への変更が事業再構築に該当するのであれば、「業態転換」に当てはまる必要があります。
事業再構築指針において、業態転換の定義は下のように示されています。
業態転換とは、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。
営業時間の変更のみの場合
営業時間を変更すると、提供時間は変更されていますが、提供方法が変更されていると言うには少し無理がありそうです。
また、業態転換の要件の1つに「主要な設備を変更すること」とあります。
営業時間の変更のみでは、料理の提供に必要な主要な設備は変わらないと考えられるため、この要件を満たすのが難しくなります。
そのため、営業時間の変更のみでは事業再構築にならないケースがほとんどだと考えられます。
メニューや販売方法の変更を伴う場合
例えば、夜営業のバーが昼営業でカレーやそのテイクアウトを始めた場合、営業時間が変更されただけでなく、提供するメニューや販売方法も変更されています。
このような場合には、事業転換や業態転換に該当する可能性があります。
飲食店の事業再構築補助金の対象会社
事業再構築補助金の対象会社は中小企業等とされており、「中小企業」に加えて「中堅企業」が対象となります。
中小企業
飲食店・カフェにおいては、下記の資本金基準と従業員基準のいずれかを満たす会社及び個人事業主が対象です。
資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
5千万円以下 | 100人以下 |
【注1】大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
【注2】確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。
【注3】企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人も支援の対象です。
※個人事業主(フリーランス)には資本金がないため、従業員基準のみで事業再構築補助金の対象者に該当するかどうかを判定することになります。
コラム「すぐに分かる!事業再構築補助金の中小企業者等の範囲」
中堅企業
以下に当てはまる法人を指します。詳細は公募要領を参照してください。
・中小企業基本法に定める中小企業者に該当しないこと。
・資本金の額又は出資の総額が10億円の未満の法人であること。
・資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員数(常勤)が2,000人以下であること。
事業再構築補助金の対象要件
1. 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3カ⽉の合計売上⾼が、コロナ以前の同3カ⽉の合計売上⾼と⽐較して10%以上減少している中⼩企業等。
2.事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。
3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。
※認定支援機関とは、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業に対して専門性の高い支援を行うため、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を国が審査し認定した機関であり、正確な名称は「経営革新等支援機関」です。具体的には、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士等が認定支援機関となっています。税理士法人MFMは認定⽀援機関に認定されているため、申請サポート(事業計画の作成支援)により企業の経営を支援しています。
※補助金額が3,000万円を超える申請には金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要があります。
※「事業再構築指針」に沿った事業計画には、新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰の5つの類型があります。
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
事業再構築補助金の補助金額・補助率
⾃社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ事業再構築を行うことが一般的ですが、飲食店・カフェにおいては建物や厨房設備への投資が必要となり、他の業種と比較して補助金額が大きくなることが予想されます。
事業再構築補助金の補助対象経費
事業再構築補助金の対象となる経費は下記の11項目です。
1.建物費
2.機械装置・システム構築費
3.技術導入費
4.専門家経費
5.運搬費
6.クラウドサービス利用費
7.外注費
8.知的財産権等関連経費
9.広告宣伝・販売促進費
10.研修費
11.廃業費
また、対象とならない補助対象外経費についても細かな規定が存在します。
補助対象経費の活用方法や補助対象外経費については、コラム「【事業再構築補助金】11の補助対象経費の上手な活用方法」に記載しています。
⾃社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ事業再構築を行うことが一般的ですが、飲食店・カフェにおいては建物や厨房設備への投資が必要となり、他の業種と比較して補助金額が大きくなることが予想されます。
また、現状よりも付加価値額を増加させる、又は従業員一人あたり付加価値額を高める投資を行う必要があることが成果目標に掲げられています。
人材投資については、従業員の人件費は補助対象経費とはならないことから、料理人やホールスタッフの人材獲得を実施したとしても事業再構築補助金の対象にはなりません。
飲食店を初めてされる方へ
飲食店は誰でもできますが競争が激しく、飲食店経営は簡単ではありません。
日本政策金融公庫から「売上アップにつながる写真の撮り方ガイド(飲食店編)」が出ています。
事業再構築補助金を活用して飲食店を初めてされる方には参考になると思います。
飲食店の事業再構築補助金の申請サポート(事業計画の作成支援)
税理士法人MFMは、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)としてこれまで多くの事業計画の作成支援を行い、中小企業・中堅企業の経営を支援してきました。税理士法人MFMの第5回公募の採択率は4件中4件採択(採択率100%)と平均的な採択率を大きく上回っていました。採択されやすいポイントを押さえた事業再構築補助金の事業計画の作成を支援いたします。費用・料金も利用しやすい低価格になっています。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の名称 | 税理士法人MFM |
大阪事務所 | 大阪府大阪市北区豊崎三丁目17番29号 |
TEL:06-6371-1768 | |
サービス案内、費用・料金案内 | 事業再構築補助金の申請サポート(事業計画の作成支援) |
認定日 | 2018年12月21日 |
具体的相談内容等 | 創業等支援、事業計画作成支援、経営改善、事業承継、M&A、事業再生、情報化戦略、販売開拓・マーケティング、マッチング、人材育成、人事・労務、海外展開等、BCP(事業継続計画)作成支援 M&Aの財務デューデリジェンス(財務DD) |
税理士法人MFMグループは大阪、東京を拠点としていますが、関西(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)や関東(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県)のみならず、お電話、オンライン、Web会議(Zoomなど)で全国の事業再構築補助金の申請サポート(事業計画の作成支援)が可能です。