事業再構築補助金の補助対象経費の内容を解説!

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事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。
この事業再構築補助金は、2020年12月15日に閣議決定された令和2年度第3次補正予算に初めて盛り込まれた補助金です。
予算額は1兆1,485億円となっており、かなり大きな予算が割り当てられている補助金となっています。
正式名称は「中小企業等事業再構築促進事業」です。

このコラムでは、特に「建物費」や「専門家経費」を中心にどのような支出に対して事業再構築補助金が支給されるかについて見てきます。
なお、文中の意見の部分は、筆者の私見であることをお断りします。

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リーフレットに記載されている補助対象経費

経済産業省の「リーフレット【2/4更新版】」には、補助対象経費として下記の記載があります。

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出店等)等。
【注】補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外です。

※建物費、建物改修費が補助対象経費に含まれている点が事業再構築補助金の重要ポイントであり、他の補助金には見られないものです。

実施要領(案)に記載されている補助対象経費

「中小企業等事業再構築促進補助金実施要領(案)」には、補助対象経費として下記の記載があります。

建物撤去費、設備等撤去費、建物改修・リフォーム費、建物費、機器・設備費、システム購入費、リース費、外注費、原材料費、研修費、専門家経費、技術導入費、知的財産権等関連経費、運搬費、クラウドサービス利用費、広告宣伝費・販売促進費。

事業再構築補助金の概要に記載されている補助対象経費

中小企業庁の「事業再構築補助金の概要」では、補助対象経費は主要経費と関連経費に分類されています。

主要経費

・建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費

関連経費

・外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
・研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
・リース費、クラウドサービス費、専門家経費
【注】「関連経費」には上限が設けられる予定です。

建物費とは。建物費はどこまで認められるか。

建物費とは

「建物費」というのは、あまり一般的に使われない言葉です。
建物を取得した場合、会計処理としては「建物」という勘定科目名で固定資産に計上し、毎期「減価償却費」という勘定科目名で費用化されていくため、「建物費」という勘定科目名は存在しないからです。

中小企業庁の「事業再構築補助金の概要」の公表により、「建物費」には「建物の建築」を含むことが明らかになりました。

建物費はどこまで認められるか

中小企業庁の「事業再構築補助金の概要」では、補助対象経費は「主要経費」と「関連経費」に分類され、「関連経費」には上限が設けられる予定です。
逆に見れば、「主要経費」である建物費には上限は設けられていないと捉えることができます。

新分野展開等の事業再構築を行うために建物の増築や新たな建物の新築が必要となった場合、数千万円~億単位の投資が必要となります。
これらの建物への投資のすべてに対して補助金が受給できるのであれば、最大1億円の事業再構築補助金の多くが不動産投資に回るようにも見えます。
ただし事業再構築補助金は、コロナで苦しんでいる事業者を助け、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。
建物費がどこまで認められるかは審査次第かもしれません。

専門家経費とは。専門家経費はどこまで認められるか。

同じ中小企業庁が実施する補助金であるものづくり補助金では、対象となる専門家経費は以下のように規定されています。
・事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費。
・専門家の謝金単価は、大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師などは1日5万円以下(消費税抜き)、大学准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータは1日4万円以下(消費税抜き)。
・ 旅費は事務局の「旅費支給に関する基準」に準じる。
・専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできない。
・応募申請時に事業計画書の作成を支援した者は専門家経費の補助対象外となる。

事業再構築補助金においても、専門家経費は同じような取り扱いになると考えられます。

M&Aと事業再構築補助金

M&A関連費用は対象となるか

M&A(エムアンドエー)とは、企業の合併・買収を意味する「Mergers and Acquisitions」の頭文字を取ったものです。
合併、株式取得、事業譲渡などの方法によりM&Aを実施しますが、その際には株式取得価額に加え、デューデリジェンス費用、バリュエーション(企業価値評価)といった様々なM&A関連費用が発生します。
公表されている補助対象経費の内容に照らしてみると、これらのM&A関連費用については対象にはならなさそうです。

M&A実施後に行う事業再構築

先ほど見たようにM&Aを実施する際には、事業再構築補助金を活用することはできません。
ただしM&A実施後に、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化した買収対象会社の事業を再構築するために事業再構築補助金を活用することは、中小企業庁の公表資料の「事務局説明資料」のP-11において想定されているので問題ありません。

税理士法人MFM(認定支援機関)
公認会計士・税理士 松浦孝安