アサヒグループホールディングス株式会社「AB InBev 社の豪州事業の株式取得及び新株式発行にかかる発行登録に関するお知らせ」

 当社は、Anheuser-Busch InBev SA/NV グループ(以下、「AB InBev 社」といいます。)が豪州で保有する全事業(以下、「CUB 事業」といいます。)の取得について AB InBev 社と合意に達し、本日取締役会にて決議し、株式売買契約(以下、「本件取引」といいます。)を締結しました。あわせて本日の取締役会において決議した新株式発行にかかる発行登録について、お知らせいたします。

 1.本件取引の目的
当社は、本年から施行している新グループ理念“Asahi Group Philosophy(以下、「AGP」といいます。)”において、「高付加価値ブランドを核として成長する“グローカルな価値創造企業”を目指す」ことをビジョンに掲げています。また AGP に基づいて更新した『中期経営方針』において、国際事業では、プレミアム化の推進とクロスセルの拡大展開を軸として、グループの持続的成長を牽引することを目指しています。
 本件取引は、こうした戦略の一環であり、AB InBev 社が保有する豪州のビール・サイダー事業(「Carlton」「Great Northern」をはじめとする有力ブランドの知的財産権を含む)を取得することにより、日本、欧州、豪州の3極を核としたゆるぎないグローバルプラットフォームの構築を目指します。
 CUB 事業は、豪州ビール市場のトップブランドである「Carlton」や「Great Northern」などの商品に加えて、高いマーケティング力や商品開発力を有しています。強固なブランドポートフォリオや効率化推進力により、安定した収益性を備えている事業となります。
 当社は、持続的な経済成長が続く豪州において、2009 年以降、事業取得を推進してきており、飲料事業に加えて、酒類事業ではグローバルプレミアムブランドと位置付ける「Asahi Super Dry」「Peroni」「PilsnerUrquell」などを展開しています。今後は、CUB 事業の広範なディストリビューションネットワークを取得できることに加えて、同等の売上規模である既存の豪州事業との組み合わせにより、調達などでスケールメリットを享受することが可能となります。また、グローカルなタレントマネジメントを拡大することにより、人材面における経営資源の高度化をさらに推進していく方針です。
 本件取引により、既存事業を含めた豪州事業の EBITDA は約 1,000 億円と欧州事業と同規模となり、日本の 2,000 億円規模と合わせて3極体制が整うことになります。これまで培ってきた3拠点のブランドや人材などの「強み」を融合していくことで、“グローカルな価値創造企業”として、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。

2.本件取引の概要
 当社が本日締結した対象事業の買収に関する株式売買契約の概要は次のとおりです。
(1)契約当事者: (売主)AB InBev 社、(買主)当社もしくは当社の 100%子会社
(2)売買対象の株式及び資産:AB InBev 社が保有する豪州におけるビール・サイダー事業及びその他関連事業を構成する会社群の全株式、「Carlton」、「Great Northern」等のすべての CUB 事業のブランド(商標権)を含む知的財産権、豪州における AB InBev 社ブランドの永久販売権及び一部 AB InBev 社ブランドのライセンス製造権、並びにその他関連資産
(3)取得価格:160 億豪ドル(キャッシュフリー・デットフリー企業価値ベース)(約 1 兆 2096 億円※1)
   ※1 : 1 豪ドル=75.6 円で換算(7 月 18 日現在)
(4) 本件買収実行のための先行条件:当社が対象事業の買主として豪州競争法当局及び、豪州外国投資審査委員会から承認されること等

3.対象事業の概要
本件の譲受対象(予定)事業は、本契約締結日現在で 123 社から構成されますが、譲受対象企業毎の経営成績及び財政状態が正確に開示できないため、企業概要については、代表的な企業 1 社についてのみ記載致します。
なお、譲受対象企業に関し開示すべき事項は、適宜改めてお知らせ致します。

(1)名称CUB Pty Ltd
(2)所在地メルボルン、豪州
(3)代表者の役職・氏名CEO: Peter Filipovic
(4)事業内容ビール・サイダーの製造販売
(5)決算期1 月
(6)資本金988 百万豪ドル
(約 747 億円※2)
(2018 年 12 月 31 日現在)
(7)設立年月日1907 年 5 月 8 日
(8)大株主及び持分比率AB InBev 社(100%)
(9)従業員数約 1,310 人(2019 年 3 月 31 日現在)
(10)当社と当該会社との間の関係当社グループと当該会社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はありません。

※2 : 1 豪ドル=75.6 円で換算(7 月 18 日現在)

4.CUB 事業の最近 2 年間の経営成績及び財政状態並びに 2019 年業績※3
(単位:百万豪ドル)

決算期2019 年 12 月期見込2018 年 12 月期実績2017 年 12 月期実績
(1)純資産
(2)総資産
(3)純売上高2,4072,2942,217
(4)営業利益(EBIT)1,0349901,023
(5)EBITDA1,1001,0751,097

※3 :本事業は、2016 年の期中に相手先(AB InBev 社)に買収されたため、2017 年実績、2018 年実績、2019 年見込を掲載いたしました。

5.株式取得の相手先の概要

(1)名称Anheuser-Busch InBev SA/NV
(2)所在地ルーヴェン、ベルギー
(3)代表者の役職・氏名CEO:  Carlos Brito
(4)事業内容ビールの製造販売
(5)決算期12 月
(6)払込資本金71,904 百万米ドル(約 7 兆 7,541 億円※4)(2018 年 12 月末)
(7)設立年月日2016 年 3 月 3 日
(8)大株主及び持株比率改めてお知らせ致します
(9)従業員数約 175,000 人(2018 年 12 月 31 日現在)
(10)当社と当該会社との間の関係当社グループと当該会社との間には、記載すべき資本関係、人的関係はありません。

※4 : 1 米ドル=107.84 円で換算(7 月 18 日現在)

6.主なスケジュールクロージングまでの今後のスケジュールの概要は次のとおりです。

AB InBev 社との間で株式売買契約を締結本日
売買実行のための先行条件充足後クロージング実行遅くとも 2020 年第一四半期中(予定)

 
7.ファイナンス・プラン
 当社の有利子負債額は、想定以上のキャッシュフロー創出力の向上により、計画を上回って減少していますが、本件取引成立後には、Net Debt/EBITDA 倍率は一時的に 4 倍を超え、D/E レシオや自己資本比率などの指標も悪化する見込みです。
 そのため、本件取引成立後、早期に財務健全性の回復を図り、格付の現状維持を目指すとともに、リファイナンス・リスクを最小化するために、本件取引に係るブリッジローン約 1 兆 2,000 億円のパーマネント化に当たり、格付上の資本性評価額 3,000 億円相当の調達を検討します。
 具体的には、保有自己株式の活用を含む普通株式による調達は上限 2,000 億円(主たる引受証券会社は、野村證券株式会社の予定)とし、格付上の資本となる劣後債(資本性 50%を想定)を組み合わせることで、既存株主持分の希薄化を極力抑制しつつ、財務基盤の確保を図ります。残額については、負債性資金による調達を予定しており、調達手法の分散を図り、パーマネント化に際して発生する資本コスト、金利コスト全体の低減に努めていきます。
 なお、上記のファイナンス・プランに関連し、本日、普通株式に係る発行登録(上限 2,000 億円)を行っております。具体的な資金調達のタイミングについては、今後の本件取引の進展に応じて検討し決定次第改めてお知らせ致します。

8.業績への影響
 クロージングの実行は 2020 年第一四半期中を予定しております。その場合は、2019 年 12 月期の個別業績及び連結業績への影響はありません。本年内に本件クロージングを実行した場合、本件による当社の 2019年 12 月期の業績及びのれん等の影響については、クロージング後、確定次第あらためてご報告致します。

 

大阪・東京の税理士法人MFMグループ
M&A財務デューデリジェンス(財務DD)部門