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残高証明書とは

残高証明書とは、金融機関が顧客に対して発行する、特定の証明基準日時点の預金や借入金などの残高を証明した文書です。

決算や相続の場面で必要になることがあり、どこの金融機関でも依頼すると発行してくれます。
残高証明書は各金融機関が提供しているサービスで発行している書類であるため、特に決まったフォームはありません。

残高証明書はどのような場面で使われるのか

1.決算の場面

法人や個人の決算時に預金残高(または借入金残高)を検証する目的で、残高証明書が使われることがあります。
そのため、必ず決算日時点の残高を証明してもらうように金融機関に依頼する必要があります。
自社の帳簿残高と金融機関の残高証明書とが一致しているかどうかを確認することにより、帳簿残高が正しいことを確かめます。

決算にあたって必ずしも残高証明書を入手する必要はなく、「通帳」や「入出金明細」でも問題ありません。
確定申告にあたり税務署への提出が必要ということもありませんし、税務調査で残高証明書の提出を求められることもありません。
「通帳」では証明力が劣るということもありません。

残高証明書を発行してもらうには金融機関の手数料が必要になります(手数料については後述)。
取引のあるすべての金融機関のすべての支店に残高証明書の発行を依頼すると、その数が多ければ金額も大きくなってしまいます。
そのコストを削減するために「通帳」や「入出金明細」のみで済ませる場合があります。
なお、残高証明書の手数料の会計処理は、一般的には「支払手数料」の勘定科目で処理します。
会計上は費用計上が可能ですし、税務上も損金(必要経費)計上が可能になっています。

決算時に入手する利点としては、残高証明書には決算日時点の借入金残高も記載されているので、借入金残高が正しいかどうかを確かめられるという点があります。
ただし、返済予定表をしっかりと保管しており、また月次の会計処理をしっかりと実施していれば、その必要もないかもしれません。

残高証明書は、一般的には決算日から概ね1週間程度で届きます。
多くの金融機関で即日発行は無理なようです。

M&A(Mergers and Acquisitions)の財務デューデリジェンス(財務DD)を行う際には、調査対象会社が万が一通帳を紛失した場合であっても、残高証明書を入手すれば残高を確認することができます。
また、残高証明書で借入金の有無及び残高を確かめることができることがあるため、M&Aの財務DDでは残高証明書があると安心です。
コラム「借入金の財務デューデリジェンスのチェックリスト」

ちなみに、監査法人が上場会社の監査を行う際に、各金融機関に「残高確認書」により確認の手続きを行いますが、これは「残高証明書」とは異なります。

2.相続の場面

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相続発生時に、預金残高(及び借入金残高)を正確に把握する目的で、残高証明書が使われます。
そのため、必ず相続発生日の残高を証明してもらうように金融機関に依頼する必要があります。

相続にあたっても必ずしも残高証明書を入手する必要はなく、「通帳」や「入出金明細」でも十分です。
相続税の申告にあたり税務署への提出が必要ということもありませんし、税務調査で残高証明書の提出を求められることもありません。

ただし、以下のような理由で残高証明書を入手することがよくあります。

①預金口座があるのは分かっているが通帳が見つからない(紛失してしまった)
②把握していない預金口座が他にあるかもしれない

「今までの所得などから見るともっと預金があるはずでは?」
「他にも口座を持っていると聞いた気がする・・」
というのであれば、その銀行で「名寄せ」を頼むことができます。
「名寄せ」とは、預金口座のある各金融機関に依頼することにより、その金融機関に被相続人名義の預金口座が複数存在しないかどうかを調べ、その預金残高を合計する手続きのことです。

③借入金残高を正確に知りたい

法人や個人事業主の場合は記帳をおこなっているため借入金残高は容易に分かりますが、一般個人の場合は借入金残高を把握することは困難な事が多くなっています。
借入金があるのかどうかを確かめ、また借入金残高を正確に把握する目的で、残高証明書が必要になることがあります。

④既経過利息を知りたい

定期預金については、相続発生日の預金残高だけでなく既経過利息も相続財産の評価に含める必要があります。
既経過利息とは、相続開始日に預金口座を解約した場合に支払われることになる利息のことです。
定期預金は普通預金と比べて利息が高額になるため、この既経過利息も相続財産の評価に含められます。
また、利息からは源泉所得税(20.315%)が徴収されるため、この源泉所得税を差し引いた額が相続税の対象となる既経過利息の金額となります。

⑤正確で客観的な相続財産を知りたい

相続人が複数人おり、相続財産を正確に把握した上で遺産分割協議書を作成しなければならない場合、残高証明書がある方が安心です。
上記で述べたように、残高証明書を入手していれば①「名寄せ」により他の預金口座がないこと②借入金の有無・残高③既経過利息の金額を確かめることができ、正確かつ客観的に相続財産を把握することができます。

相続の手続の際に入手する残高証明書は、概ね1週間~10日程度で届くようです。

残高証明書を入手する

法人や個人の決算の場面で残高確認書を入手する場合、必要書類は各金融機関で少しずつ異なっているようですが、金融機関の届印はどこの銀行でも必要なようです。
そのため、最初は銀行の窓口に行き手続をする必要があります。

希望の証明基準日で定期的に残高証明書を郵送してもらえるサービスも各金融機関にあります。
年1回(決算のみ)、年4回(四半期ごと)、毎月などのサイクルで郵送してもらえます。
最初に窓口に行った際にこの手続をしておけば、次回からは何もしなくても郵送されるので便利なサービスになっています。

残高証明書の手数料

残高確認書の発行手数料は各金融機関で少しずつ異なっています。
代表的な金融機関の料金は以下のようになっています(令和元年10月時点)。

三菱UFJ銀行

都度:770円(税込)
定期:550円(税込)

三井住友銀行

880円(税込)

みずほ銀行

個別:770円(税込)
定期:550円(税込)

りそな銀行

都度:880円(税込)
継続:440円(税込)

ゆうちょ銀行

520円(税込)

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