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財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ

M&Aとデューデリジェンス

シェアを拡大または事業を展開する方法として、M&Aを実行する企業が増えています。
国内のみならず、外国の企業の株式を取得する「国境を越えて行うM&A」いわゆるクロスボーダーM&Aも活発に行われてきています。

優良な企業を買収して会社規模の飛躍的な拡大を図れば、株式公開を一気に実現することも可能です。
手元資金がなくとも、合併、会社分割、株式交換といった手法を使えば、現金を使わずに、自社株式で他社の経営権を取得することができます。

M&Aには隠れ債務の引継リスク等があるため、公認会計士や弁護士などの専門家によるデューデリジェンスが必要になります。
このデューデリジェンス費用の税務上、会計上の処理方法が問題になります。
コラム「デューデリジェンスは必要なのか」

デューデリジェンス費用の税務上の処理方法

法人税法においては、購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)となります(法人税法施行令119条1項1号)。
デューデリジェンス費用は、この「有価証券の購入のために要した費用」に該当するか否かを判断する必要があります。

その判断基準として、国税不服審判所の採決事例や国税庁の質疑応答事例が参考になります。

国税不服審判所の採決事例

平成22年2月8日国税不服審判所福岡支部裁決 TAINS FO-2-500より抜粋

「購入した有価証券の取得価額は、法人税法施行令第119条第1項第1号がその購入の代価にその有価証券の購入のために要した費用の額を加算した金額とする旨規定しているところ、どの有価証券を購入するか特定されていない時点において、いずれの有価証券を購入すべきであるか決定するために行う調査等に係る支出は、この有価証券の購入のために要した費用には当たらないものの、特定の有価証券を購入する意図の下で有価証券の購入に関連して支出される費用は、有価証券の購入のために要した費用として当該有価証券の取得価額に当たるものと解される。
本件財務調査費用は、本件財務調査が本件株式の買収についての意思決定の参考とするために行われたものと認められることからすれば、特定の有価証券を購入することを決定した後に当該有価証券の購入に関連して支出される費用に該当することになるから、有価証券の購入に要した費用として、本件株式の取得価額に算入されることとなる。」

少し長い文書でしたが、簡単に言うと、
取締役会等による買収意思決定前→損金処理
取締役会等による買収意思決定後→取得価額
になるものと考えられます。

M&Aには隠れ債務の引継リスク等があるため、一般的には買収意思決定前にデューデリジェンスを実施し、M&A実行の可否や適正な買収価格の判断材料を入手します。
ただし、リスクが低いことがあらかじめ分かっている場合や、時間的・事業上の様々な制約がある場合など、買収意思決定を行った後でデューデリジェンスを行うことも実務上は十分に考えられます(この採決事例もその1つです)。
当然に損金処理できるものではありません。
コラム「M&Aのデューデリジェンスにおける簿外債務(隠れ負債)の発見方法」

国税庁の質疑応答事例

平成30年12月26日に国税庁が公表している質疑応答事例が更新され、「合併に伴うデューディリジェンス費用の取扱い」という新たな事例が公表されました。

先ほどの国税不服審判所の採決事例ではM&Aにより株式を取得する事例でしたが、この質疑応答事例はM&Aにより合併を行う事例という点で異なります。

この質疑応答事例では、吸収合併を計画している場合に、「事業内容や権利義務関係の把握、企業価値の評価、合併の実行に必要な手続の把握等」を内容とするデューデリジェンスは、合併により移転を受ける減価償却資産の取得価額に含めるなど資産として計上せずに、一時の損金として処理することになるとしています。

デューデリジェンス費用の会計上の処理方法-連結財務諸表

旧企業結合会計基準の取扱い

平成20年12月26日改正の旧企業結合会計基準では、取得はあくまで等価交換取引であるとの考え方を重視し、取得企業が等価交換の判断要素として考慮した支出額に限って取得原価に含めることとしてため、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含め、それ以外の支出額は、発生時の事業年度の費用として処理することとされていました。

新企業結合会計基準の取扱い

この企業結合会計基準が平成25年9月13日に改正され、国際的な会計基準に基づく財務諸表との比較可能性を改善する観点や取得関連費用のどこまでを取得原価の範囲とするかという実務上の問題点を解消する観点から、発生した事業年度の費用として処理することとされました(企業結合会計基準94)。

デューデリジェンス費用の会計上の処理方法-個別財務諸表

個別財務諸表においては、子会社株式の取得原価は、従来と同様に、金融商品会計基準及び日本公認会計士協会会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」に従って算定することとなります。
そのため、デューデリジェンス費用は、取得した金融資産の取得価額に含められます。ただし、経常的に発生する費用で、個々の金融資産との対応関係が明確でない付随費用は、取得価額に含めないことができます(金融商品実務指針56)。

つまり、原則として、株式の取得の付随費用として、子会社株式の取得価額に含めることになります。
ただし、M&Aが成立しなかったときのように金融資産との対応関係がない場合などは、発生時費用処理することになると考えられます。

まとめ

このように、デューデリジェンス費用の処理方法は、
・税務上
・会計上-連結財務諸表
・会計上-個別財務諸表
それぞれ処理が異なっているため、とてもややこしくなってしまっています。

税理士法人MFMの財務・税務デューデリジェンス

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税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
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