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開業届とは

『開業届』とは、個人事業を開業した際に、開業したことを税務署に知らせるための届出書類で、正式名称は『個人事業の開業・廃業等届出書』といいます。
書類名に「廃業」とあるように廃業した際に提出が必要な届出も兼ねており、また「等」とあるように事務所・事業所の新設・増設・移転・廃止した際に提出が必要な届出も兼ねています。
そのため、この『開業届』には開業の際には記載が不要な部分もかなり含まれており、結果として書き方が複雑に見えてしまっています。
実際のところはそれほど難しくはありませんが、書き方に悩む部分が何ヵ所かあります。
このコラムでは美容室を開業される方の多くが記載に悩まれる部分を中心にできるだけ分かりやすく説明していきます。

もし『開業届』を提出し忘れても美容室の営業は開始できますし罰則規定もありませんが、後述する『青色申告承認申請書』を提出し忘れていれば特別控除(節税効果)を受けることができません。
この『青色申告承認申請書』を提出するには『開業届』の提出が必要となるのです。

また、『開業届』を提出することにより、税金に関する案内・申告書・納付書といった確定申告や納付に必要な書類が税務署から適時郵送されてくるので、正しい申告納税ができます。

ちなみに、保健所に提出しなければならない書類は『開設届』であり、税務署に提出する『開業届』とは名称も異なります。

開業届のメリット、デメリット

開業届を提出することによるメリット、デメリットは以下のようになっています。

メリット

①青色申告による特別控除(節税効果)を受けることができる
②青色事業専従者給与を経費計上することができる
③少額減価償却資産(30万円未満の資産)を経費計上することができる
④黒字の所得との損益通算
⑤純損失の繰越控除
⑥小規模企業共済の退職金制度を利用することができる
⑦経営セーフティ共済を利用することができる

デメリット

①失業保険を受けることができなくなる
②確定申告をする必要がある

メリット、デメリットの詳細については、コラム「開業届の書き方パーフェクトガイド」に記載しています。

開業届を入手する

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国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署の窓口に出向いて入手します。

美容室の開業届の書き方

まずは上の部分を、左上から右下の方へ順番に見ていきましょう。
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「税務署長」

管轄の税務署名を記載します。
まず自分の所轄の税務署がどこであるかが分からなくて最初からつまずかれる方も多いです。
個人事業主の場合、原則として自宅の住所地が納税地となり、その納税地を管轄する税務署になります。
税務署の管轄地域は複雑ですので、下記の国税庁のホームページにアクセスし自宅の郵便番号や住所を入力するのが最も早くて正確です。
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

「提出日」

提出年月日を記入します。郵送提出の場合は、ポストへの投函日を記入します。

「納税地」

個人事業主の場合、原則として自宅の住所地が納税地となります。
そのため、この「納税地」欄には、原則として自宅の住所を記載します。

ただし、居所地や事業所などの所在地を納税地とすることができる特例があります。
この納税地の特例を受けようとする方は、本来の納税地を所轄する税務署長に、納税地の特例を受けたい旨の届出書(「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」)を提出する必要がありますが、今まで確定申告をしたことがなく開業と同時に居所地や事業所を納税地とするときにはこの届出書の提出は不要な場合もあるようで、事前に確認をした方がよいかもしれません。
この特例を受けた方は、「納税地」欄には居所地や所在地を記載します。

「上記以外の住所地・事業所等」

自宅の住所地と美容室の場所が別であれば、美容室の所在地を記載します。
納税地の特例を受けた方は、自宅の住所を記載します。

「氏名・生年月日・個人番号」

氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)を記入します。
名前の横の㊞のマークがある部分には押印が必要です。
この押印は認印で問題ありません。
※新様式では生年月日に令和が追加されています。

「職業」

営む事業の名称を簡潔に記載します。
明確な記載のルールはありませんが、総務省が公表している「日本標準職業分類」の業種名を参考にすればよいと言われています。
美容室であれば、「美容業」「美容室」「美容院」「ビューティサロン」といった書き方になります。
理容室であれば、「理容業」「理容室」「理容店」「理髪店」「バーバー」「床屋」といった書き方になります。

「屋号」

屋号がある場合は記載します。
美容室の多くは屋号を使用しているため、記載が必要なケースが多いでしょう。
屋号名で銀行口座を開設されたい場合は、正確に記入しましょう。
銀行に『開業届』を提出する必要があります。
屋号を使わない方は空欄でも問題ありません。

次に中央部分を、上から順番に見ていきましょう。
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「届出の区分」

「開業」に〇を付けます。

「所得の種類」

美容室は、不動産事業でも山林事業でもありませんので、事業(農業)所得に〇を付けます。

「開業・廃業等日」

実際に開業した「開業日」(もしくは開業予定日)を記載します。
縁起を気にされる方であれば、仏滅などの日を避けて大安などの日を開業日に設定する方もおられます。
※旧様式ではデフォルトで平成と印字されていましたが、新様式では平成と令和が選択できるようになりました。

「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」

『青色申告承認申請書』を一緒に提出する場合は、右側の「有」に〇を付け、提出しない場合は「無」に〇を付けます。
『消費税課税事業者選択届出書』を一緒に提出する場合は、右側の「有」に〇を付け、提出しない場合は「無」に〇を付けます。
開業直後は消費税は基本的には関係ありませんので、通常は「無」に〇で問題ありません。

「事業の概要」

営む事業の内容を具体的に記載します。
個人的な見解ですが、美容室や理容室は誰もが訪れたことがありその事業内容は一般的に周知されているため、「美容室の経営」や「理容室の経営」といったように簡潔に記載する方法でも問題ないと思われます。
ただし、何か特徴的な内容の事業があるのであれば、括弧書きにあるようにできるだけ具体的に記載しましょう。
ここも「職業」欄と同様、明確な記載のルールはありません。

「給与等の支払の状況」

届出日現在においてスタイリスト・アシスタント・受付などの従業員がおり、給与の支払があればこの欄に記載する必要があります。
「従事員数」の欄には、従業員数を記載します。
「給与の定め方」の欄には、日給・月給等の区分を記載します。
「税額の有無」の欄には、「専従者」「使用人の」各区分の全員について、所得税がかからない範囲内の給与である場合には「無」に○を付け、そうでない場合には「有」に○を付けます。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」

源泉所得税は、原則として給与の支払日の翌月10日が納付期限となっています。つまり毎月納付が原則です。
ただし、従業員数が常時10人未満である場合、年2回の納付でよいとする特例が設けられています。
この特例を受けようとする方は、『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を作成提出し、「有」に〇を付けます。
開業直後の美容室1店舗では従業員数は10人未満と思いますので、事務的に簡単な納期特例を選択し、「有」に〇を付けることが多いと思います。

「給与支払を開始する年月日」

給与の支払を開始する日(届出日現在において既に給与等の支払をした場合にはその開始をした日)を記載します。
※旧様式ではデフォルトで平成と印字されていましたが、新様式では平成と令和が選択できるようになりました。

最後に一番下の部分です。
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「関与税理士」

関与税理士がいれば、この欄に記載します。
ただ、関与税理士がいてれば、この『開業届』は通常は税理士が書いて提出してくれると思います。

「税務署整理欄」

税務署整理欄なので記載する必要はありませんし、何も記載してはいけません。

開業届の提出枚数

『開業届』の提出枚数は1枚です。
ただし、『開業届』を書面で提出する場合で手元に控えが欲しい方は、2枚作成提出することにより、税務署の受付印を押してもらったものを1枚返してもらうことができます。
郵送提出で手元に控えが欲しい方は、切手を貼付した返信用封筒を入れておく必要があります。
これを忘れると手元に控えが返ってきません。

開業届の提出期限

美容室の開業日から1か月以内に提出する必要があります。
郵便の場合は、通信日付印(消印)の日が提出日とみなされます。

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