デューデリジェンスとは何か

デューデリジェンスは、英語では「Due Diligence」と書きます。「当然の・正当な」という意味を持つ「Due」と、「努力・精励」という意味を持つ「Diligence」を組み合わせた言葉で、直訳すると「当然の努力」を意味します。英語の発音をそのままカタカナにすると「デュー・ディリジェンス」となるため、そのように表記されることもあります。

日本語に直訳しただけでは理解しにくいのですが、一般的には、企業買収(M&A)(Mergers and Acquisitions)の前に行う買収対象企業の調査のことを意味します。企業買収の意思決定を行うために行う当然の努力(調査)と解釈すると理解しやすいかもしれません。

「デューデリジェンス」は少し長いので、口頭や文書では「デューデリ」や「DD」と言うこともあります。

デューデリジェンスの種類

M&Aのデューデリジェンスには下記の種類があります。

□ 財務(ファイナンシャル)デューデリジェンス
□ 法務(リーガル)デューデリジェンス
□ 税務デューデリジェンス
□ 人事労務デューデリジェンス
□ ITデューデリジェンス
□ 事業(ビジネス)デューデリジェンス
□ 不動産デューデリジェンス
□ 環境デューデリジェンス

コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

上記のすべての種類のデューデリジェンスを専門家に依頼すると莫大な費用が必要になります。費用を安く抑えるためには、M&Aにあたり重要な部分はどこなのかを把握し、優先順位を付け、特に重要な部分のデューデリジェンスを専門家に依頼するのがベストです。一般的には、財務面と法務面のデューデリジェンスが重要になるため、以下では財務DDと法務DDについて費用の相場を見ていきます。

財務デューデリジェンスの費用の相場

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財務デューデリジェンスの費用の一般的な相場

財務DDの費用=時間単価×時間で計算されることが多いです。また、時間単価は2〜5万円となっていることが多いようです。財務DDの報酬料金を公表している公認会計士(監査法人)はほとんどありませんが、「公認会計士 時間単価」「公認会計士 タイムチャージ」などで検索すると公認会計士の概ねの報酬料金の相場が分かると思います。ただし、財務DDは専門性が高い分野であるため、一般的にはその料金より少し高くなります。

財務DDは、どれだけ小さなM&A案件であっても5人日(1人×5日)程度はかかるため、1日7~8時間で計算すると安くても70万円~200万円くらいの費用がかかると思っておいた方がよいでしょう。中小企業のM&Aであってもそれなりに規模が大きな会社であったり中身が複雑な会社であれば、場合によっては500万円近くもの費用がかかることもあります。

税理士法人MFMの財務デューデリジェンスの費用の実例

料金の問い合わせを頂いた方から、最初に問い合わせた専門家からの見積額が2,000万円だったという話しを聞いたことがあります。費用を安く抑えたいということでしたのでお見積りをし、最終的に弊社で実施させて頂いたところ、20分の1以下の費用にできたこともあります。税理士法人MFMが過去に実施したデューデリジェンスの費用の事例をいくつかご紹介します。

① 28万円でデューデリジェンスを実施した東京の事例

② 56万円でデューデリジェンスを実施した京都の事例

③ 77万円でデューデリジェンスを実施した大阪の事例

税理士法人MFMでは、料金20万円(税抜)~の簡易的な財務デューデリジェンス・税務デューデリジェンスも実施しています。

サービス案内「簡易財務・簡易税務デューデリジェンス」

財務デューデリジェンスの費用の決定要因

財務DDの費用は、一つの要因により決定するのではなく以下のような複数の要因による影響を受けます。

買収対象会社の規模、子会社の有無

買収対象会社の規模や子会社の有無によって財務DDの料金が変わります。子会社も含めてM&Aをするのであれば、2社分の財務DDの手続を実施する必要があるからです。スモールM&Aであれば、先ほど述べたように5人日程度で安く抑えられる場合もありますが、中小企業でも規模が大きくなり20人日の作業が必要となればその4倍の費用がかかることになります。

買収対象会社の業種

買収対象会社が営んでいる業種によっても財務DDの料金は異なります。例えば製造業の場合、滞留債権、滞留在庫、工場、機械、リース契約などの存在により手続に多くの時間が必要となるため、料金が高くなりがちです。一方でサービス業の場合は、保有資産や契約書類が少ないため、財務DDの費用を安く抑えられる傾向にあります。

どの専門家に依頼するか

財務DDを大手監査法人に依頼するか個人の公認会計士に依頼するかで、料金は大きく変わります。大手監査法人は、人材が豊富で一定以上の品質管理ができているため安心して任せることができる反面、単価が高く、また細かな手続や二重三重のチェックが社内で要求されるため長い作業時間が必要となり費用が高くなります。一方で、個人の公認会計士に依頼すると、単価が低めで作業時間も短くなるため料金は安くなりますが、品質は人によりばらつきがあるでしょう。

専門家に依頼する業務の範囲

業務をどこまで依頼するかによっても財務DDの費用が変わってきます。会計・税務の専門家が携わるM&A業務としては、M&Aのアドバイザリー、財務DD、株価評価(バリュエーション)などがあります。すべての場面で公認会計士に依頼すると料金は当然高くなりますし、財務DDの業務だけ依頼すると安く抑えられます。

依頼する専門家の報酬体系

報酬体系には様々な種類があり、固定、変動(時間)、変動(日当)、固定+変動などがあります。基本的には各専門家で定められてい報酬体系によることになります。財務DDを実施している途中でM&Aが破談になるケースもあり、そのような場合には専門家との協議により最終的な料金が決まることもあるでしょう。出張に必要な旅費交通費については、別途実費精算としているケースが多いように思います。

法務デューデリジェンスの費用の相場

一般的には、法務DDの費用の相場も1時間当たり2〜5万円となっていることが多いようです。法務DDの報酬料金を公表している弁護士(弁護士法人)はほとんどありませんが、「弁護士 時間単価」や「弁護士 タイムチャージ」などで検索すると弁護士の概ねの報酬料金の相場が分かると思います。

法務DDも、小さなM&A案件であっても5人日(1人×5日)程度はかかるため、1日7~8時間で計算すると最低でも70万円~200万円くらいの費用がかかると思っておいた方がよいでしょう。買収対象会社の規模・内容などにもよりますが、確認すべき契約書や紛争事件が多ければ財務DDと同じくらいの費用がかかることがあります。

また、報酬体系も財務DDと同様に、固定、変動(時間)、変動(日当)、固定+変動など、様々な種類があります。こちらも基本的には各専門家で定められてい報酬体系によることになりますが、専門家との協議により決まる部分もあるでしょう。

デューデリジェンス費用の会計処理と税務処理

・会計処理-個別財務諸表の場合
・会計処理-連結財務諸表の場合
・税務処理-株式取得の場合
・税務処理-吸収合併の場合
で処理が異なっていますので、詳しくはコラム「デューデリジェンス費用の会計処理と税務処理」をご参照下さい。

金融機関、仲介会社の方へ

税理士法人MFMでは、金融機関や仲介会社の担当者の方からの財務デューデリジェンス(財務DD)のご相談を無料で受け付けています。買収対象会社の業種により気を付けるべき勘定科目や取引が異なるため、お気軽にご相談ください。

会計事務所、税理士事務所の方へ

初めてM&Aの調査業務をされる会計事務所様や税理士事務所様からのご相談も承っています。クライアント様の情報を頂くことなく財務デューデリジェンスや企業調査を実施させて頂きますので、同業ですが安心してお任せ頂けると思います。決算書や申告書のチェックは先生が実施されて足りないと思われる部分だけお手伝いさせて頂く方法など、柔軟的な対応も可能です。

税理士法人MFMの財務デューデリジェンス・税務デューデリジェンス

M&Aの調査である財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
税理士法人MFMではM&Aのデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
どれだけ小さい案件のM&Aであっても四大監査法人出身の公認会計士がデューデリジェンス業務を監督しているため、安心してお任せ頂けます。

税理士法人MFM
公認会計士・税理士 松浦孝安