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財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ

デューデリジェンスはいつ始まりいつ終わるのか

M&Aを実施しようと思った時にM&Aの仲介会社に言えばすぐに良い案件が見つかるほどM&Aを成功させるのは甘くはありません。
M&Aを検討している会社は、1年中案件を探しています。
それでも1年間で1件も良い案件が見つからないということが多いくらいです。
特に中小企業においては、M&Aの案件を探すのは社長であり、社長だけが仲介会社とやり取りを行っていることも多くなっています。
そのため、社長が良さそうな案件を見つけた場合、経理担当者は社長命令によりすぐに対応しなければなりません。
聞いたこともない案件で、さらに時間がない中で、経理担当者がM&Aのデューデリジェンスを実施するに当たり注意しなければならない重要ポイントを時系列に並べて説明しています。

デューデリジェンスは、現地での資料のチェックとマネジメントインタビューだけしてればよいのではありません。
現地での限られた日数で効率的に調査を進めるためにはしっかりとした事前準備が必要ですし、現地調査の中でリスクが低く時間がかかりそうと判断した事項については事後的な作業に切り替え、現地ではよりリスクが高い事項を優先して検討しなければなりません。
デューデリジェンスはM&Aの早い段階から始まり、現地調査の後もまだ続くことになります。
コラム「デューデリジェンスは必要なのか」
コラム「財務デューデリジェンスと事前依頼資料」

意向表明書(LOI)の提出

意向表明書とは何か

意向表明書(いこうひょうめいしょ)とは、M&Aの買手が売手に対し、会社や事業を購入したいという意思を示す書類のことです。
英語では、Letter of Intent(レターオブインテント)(LOI)といいます。
意向表明書(LOI)には、M&Aの条件の概略(譲渡資産の範囲、取引価額、M&Aの買収スキーム、スケジュールなど)が盛り込まれています。

M&Aでは、デューデリジェンスを実施する前にお互いの認識をある程度合わせておく必要があります。
デューデリジェンス実施後に、やっぱり条件が合わないということで交渉が破談になってしまうと、売手側も買手側も大きな時間とコストをロスすることになってしまいます。
意向表明書の提出は両者が一定の条件で大筋合意したことを意味し、後々大きな認識のズレが生じないようになります。

この意向表明書を提出した段階で一気にデューデリジェンスの実施の可能性が高まります。
ただし、売手と買手が互いに意思確認がしっかりとできているような状況であれば、意向表明書は省略されることもあります。

経理担当者の検討事項

意向表明書を提出したのであれば、その情報は経理担当者の耳に入って来るでしょう。
経理担当者としては、ここからがM&Aのデューデリジェンスの始まりです。

M&Aの経緯・理由を把握する

一般的には、優良な企業であれば、そのオーナーは自社をM&Aで他社に売却しようとは思いません。
後継者不在が理由でM&Aを実施するといったような合理的な理由があるような場合を除き、M&Aの経緯・理由をしっかりと把握する必要があります。
そこにM&Aのリスクが潜んでいることが多くあります。

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M&Aの範囲・買収スキームを把握する

意向表明書に記載されている、M&Aの範囲や買収スキームを把握します。
会社(法人格)の譲渡であれば、会社全体をデューデリジェンスする必要があります。
様々な書類から隠れ債務はないかの検討、すべての重要な契約書を見て法的なリスクはないかの検討、過去の税務申告書などを見て税務リスクはないかの検討など、様々な検討をしなければなりません。
特定の事業の譲渡であれば、その事業だけを見ればよいので、デューデリジェンスの調査が必要な範囲は狭くなります。
会社の譲渡であるのか特定の事業の譲渡であるのかによって、どの専門家が必要かも変わってきます。
専門家にデューデリジェンスを実施する必要があるかもしれない旨だけでも伝えておくと、後でスケジュール調整が楽になるでしょう。
コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

また、M&Aのために資金調達が必要になるかもしれません。
金融機関にも資金調達が必要になるかもしれない旨だけでも伝えておくとよいでしょう。

基本合意書(MOU)の締結

基本合意書とは何か

基本合意書(きほんごういしょ)は、簡単に言うと覚書のことです。
英語では、Memorandum of Understanding(MOU)と言われています。

基本合意書(MOU)は、意向表明書(LOI)でM&Aの概略(譲渡資産の範囲、取引価額、M&Aの買収スキーム、スケジュールなど)をお互いに確認した後に、締結する書類です。
買手側は、トップ同士の会談を行った後で、意向表明書(LOI)を提出することによりM&Aを実施したい意向を売手側に伝えます。
売手側は、複数の買手の候補者の中から交渉相手の絞り込みを行い、独占交渉権などを盛り込んだ基本合意書(MOU)を締結します。

M&Aを実施するには多くの時間とコストがかかります。
デューデリジェンスを専門家に依頼し、多くの時間とコストを費やした後で急に売手側から交渉を打ち切られた場合、買手側は損害を被ることになります。
買手側から見ると、そのようなことを避けるため、他社からの干渉が入ることなく交渉を進めることができる状態が望ましいのです。
そのため、買手側から独占交渉権を要求することがあります。

基本合意書で締結される内容は、最終契約に準じた基本事項、独占交渉権、秘密保持の義務、デューデリジェンスの実施などです。
ただし、デューデリジェンスの結果によっては条件の変更が避けられない事もあります。

上場会社では、適時開示規則に基づき、M&Aの株式譲渡契約書や事業譲渡契約書を締結する前であっても、基本合意書の締結時に適時開示情報を公表する必要がある場合があります。
ソフトバンク株式会社の子会社のZホールディングス株式会社が、LINE株式会社と経営統合に関する基本合意書を締結した際にも適時開示情報が出されました。
また、締結された基本合意書が事後的に変更された場合であっても、当該変更に関する適時開示情報を公表する必要がある場合もあります。

経理担当者の検討事項

基本合意書(MOU)を締結したのであれば、財務デューデリジェンス(財務DD)や法務デューデリジェンス(法務DD)を実施するため、専門家への正式な依頼と日程調整を行う必要があります。
ここから本格的にデューデリジェンスがスタートします。
コラム「秘密保持契約書とは」

デューデリジェンスの実施

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デューデリジェンスを専門家に依頼する場合

全体の把握

デューデリジェンスは専門家に依頼したとしても、経理担当者としては全体を把握しておかなければいけません。
経営者には善管注意義務があり、何かあった時は経営者の責任が問われるおそれがあります。
経営者を支えるためにも、専門家に完全に任せっきりにせずに全体を把握しましょう。
デューデリジェンスを経験すると、自身の経理担当者としてのスキルも大きく向上するでしょう。
善管注意義務については、コラム「デューデリジェンスは必要なのか」に記載しています。

経理の把握

M&A実施後しばらくの間は、社内体制は緩やかにに変えていくケースが多いように見受けられます。
親会社の経理としても、デューデリジェンスを実施したとしても、買収対象先の経理の細かい部分までは分かりませんし、買収対象先の会社の経理を全般的に見る余裕がないことも多いです。
そのため、経理の体制もしばらくはそのままであることが多いように見受けられます。

ただし、M&Aのメリットの1つに規模の経済を享受するという点があります。
管理部門もその例外ではありません。
売上1億円で経理1人の会社が売上100億円になったからといって経理が100人必要ではありません。
子会社1社を経理1人で見ていた会社が子会社100社になったからといって経理が100人必要ではありません。
M&A実施後しばらくの間はそのままでも、数年もすると管理部門の効率化を図り規模の経済を受ける流れになるでしょう。
その場合、買収対象会社の経理部門は親会社に集約されることもあります。
将来、自分がその経理を担当することになるかもしれません。
ある程度は経理を把握しておいた方がよい場合があります。

設備投資、IT投資

製造業の場合、社長の高齢化・後継者不在が理由でM&Aを実施しているときは、製造設備が古いことが多くなっています。
使用している機械や製造工程が原因で生産性が悪くなっている場合、生産性を上げるために多額の設備投資が必要なことがあります。
そのため、デューデリジェンスにおいて、まだ売手の従業員にM&Aが秘密にされている段階だったとしても、例えば工場見学をするなどして製造設備、製造している工程を確認しておくとよいでしょう。
M&Aの成立後、どのような設備にどれだけの投資が必要であるかを事前に確認しておく必要があります。
もし、M&Aで多額の取得費用を支払った後に更に想定外の多額の設備投資が必要になったのでは、会社の経営上よくありませんし、現場に行った経理担当者として責任を全うしていると言うことができません。

サービス業などの設備投資がそれほど必要でない業種のM&Aであっても、より効率的に事業を運営する上でIT投資が必要な場合があります。
このような場合、M&Aの成立後、どれだけのIT投資が必要であるかを事前に確認しておく必要があります。
今後の資金繰りを考える上では、M&Aの買収スキームのみならず、設備投資やIT投資の影響も考慮する必要があります。

自社でデューデリジェンスを実施する場合

リスクが小さい会社のM&Aをする場合、専門家に頼ることなく自社と顧問税理士のみでデューデリジェンスを行う場合もあります。
デューデリジェンスで基本的に抑えておかなければならない名義株や隠れ債務などの問題はしっかりと押さえておく必要があります。
名義株についてはコラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」で触れています。
コラム「M&Aのデューデリジェンスにおける簿外債務(隠れ負債)の発見方法」

デューデリジェンス実施後

資金調達

デューデリジェンス実施の際に、設備投資やIT投資にどれだけの資金が必要であるかを事前に確認しておく必要があると書きましたが、購入かリースかによっても必要な資金調達の額は変わってきます。
より詳細な事業計画を立てる必要があります。

決算日の統一

上場会社では、親会社と子会社の決算日は基本的に統一されています。
これは連結財務諸表会計基準の規定に準拠した処理を行うためです。
□連結財務諸表の作成に関する期間は1年とし、親会社の会計期間に基づき、年1回一定の日をもって連結決算日とする(連結財務諸表会計基準15)
□子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う(連結財務諸表会計基準16)
□子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができる。ただし、この場合には、子会社の決算日と連結決算日が異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について、必要な整理を行うものとする。(連結財務諸表会計基準 注4)

そのため、M&Aの買収対象会社の決算日が自社の決算日と異なる場合、子会社の決算日を変更して親会社の決算日に合わせることもよく行われています。
最近では中小企業においてもM&Aはよく行われており、中小企業においても連結の業績の把握をするためなどの目的で決算日を統一することがあります。

M&Aの時期と決算日次第では、M&Aの直後に決算日の変更をするとともに決算を迎えるケースも出てきます。
決算日の変更というイレギュラーな処理は買収先の経理担当者は分からないことが多いので、親会社の経理がフォローしなければならない場合もあります。

税理士法人MFMの財務・税務デューデリジェンス

財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
税理士法人MFMではデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
報酬も業界最安値水準になっています。

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