経理規程とは何か
経理規程(けいりきてい)とは、経理の基本的な方針、手続、処理の方法などについての社内ルールを定めたものを文書化したものです。
「規程」と「規定」の2種類の漢字があり、どちらを使うべきか迷う方が多くおられます。
国語辞典などによると「規程」には次のような意味があるとされています。
・特定の目的のために定められた一連の条項の全体をひとまとまりとして呼ぶ語
・官公署などにおける、内部組織・事務執行などののっとるべき準則
また、「規定」には次のような意味があります。
・物事のありさまややり方をある形に定めること
・法令の条文として定めること。また法令の個々の条文。
「規程」も「規定」も何らかのルールを定めたものであるという点については共通します。
しかし、両者を細かく見ていくとその違いが浮かび上がってきます。
「規程」には「一連の」という意味が含まれるのに対し、「規定」には「個々の」という意味が含まれています。
つまり、「規定」は個々のルールを定めたものであり、「規程」はそれらのルールの一連の集合体のことになります。
経理規程を例にとると、後ほど述べますが、第1条(目的)や第2条(範囲)といった個々のルールが「規定」であり、これらの一連のルールがまとたったものが「規程」になります。
そのため、「経理規程」という漢字を使うのがが正しいのです。
経理規程の作成義務
経理規程を策定するかどうかは(社会福祉法人などの一部の法人を除いて)基本的には企業の任意となっています。
ただし、企業が大きくなればなるほどに様々な社内ルールが必要になってくることが多いため、経理規程を定めている会社の割合が高くなってきます。
また、株式上場をする際の上場審査基準の1つに、経理規程が整備され運用されているかという項目もあるため、上場会社は経理規程を策定する必要があります。
M&A(Mergers and Acquisitions)によりグループ会社が多くなってくる一方、各子会社が様々な独自のルールで経理を行っていたのでは、親会社が子会社の経理を把握することが困難になるケースもあります。
そのような場合には、グループ共通の経理規程があった方が業務が効率されることがありますので、M&Aのデューデリジェンスを行う際には経理規程も確認するとよいでしょう。
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「財務デューデリジェンスと事前依頼資料」
経理規程の雛形・テンプレート
経理規程は会社によってはボリュームが多く、100ページ以上になることもあります。
何もない所から経理規程を策定するのは困難ですので、一般的には、何らかの雛形やテンプレートを見本にしながら自社のルールを加筆・訂正していくという方法がよく取られます。
1.経理規程ハンドブック
有限責任監査法人トーマツが、「経理規程ハンドブック」という800ページ近い分厚い書籍を出版しています。
経理規程について記載している書籍の中で最も中身が充実している書籍なので参考にしてみてもよいかもしれません。
(分厚い分それなりの値段がしますが)
この経理規程ハンドブックによると、経理規程の主な構成は以下のようになっています。
第1章 総則
第2章 勘定および会計帳簿
第3章 金銭および資金業務
第4章 棚卸資産
第5章 債権・債務
第6章 デリバティブ取引
第7章 固定資産
第8章 繰延資産
第9章 原価計算
第10章 決算
第11章 連結決算
第12章 予算
第13章 その他
2.全国社会福祉法人経営者協議会の社会福祉法人モデル経理規程
社会福祉法人は、「社会福祉法人会計基準」に従って会計処理しなければならないとされています。
また、「社会福祉法人の会計基準の制定について」(平成12年2月17日社援第310号通知)発出により、全国社会福祉法人経営者協議会が「社会福祉法人モデル経理規程」を策定・公表しています。
社会福祉法人独自の規定もありますが、参考にできる部分も多いと思います。
Word版でダウンロードも可能なのでデータ加工も容易になっています。
このモデル経理規程の全部を記載できませんが、主な構成は以下のようになっています。
第1章 総則(第1条-第9条)
第2章 勘定科目及び帳簿(第10条-第14条)
第3章 予算(第15条-第21条)
第4章 出納(第22条-第32条)
第5章 資産・負債の管理(第33条-第37条)
第6章 財務及び有価証券の管理(第38条-第43条)
第7章 棚卸資産の管理(第44条-第46条)
第8章 固定資産の管理(第47条-第55条)
第9章 引当金(第56条-第58条)
第10章 決算(第59条-第68条)
第11章 内部監査及び任意監査(第69条-第70条)
第12章 契約(第71条-第77条)
第13章 社会福祉充実計画(第78条-第79条)
附 則
財務デューデリジェンス・税務デューデリジェンス
M&Aの調査である財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
税理士法人MFMではM&Aのデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
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