teikan

定款とは何か

定款(ていかん)とは、会社の組織や活動を定める根本規則のことを意味します。

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならないとされています(会社法26条)
合名会社、合資会社又は合同会社といった持分会社を設立する場合であっても、同様に定款を作成する必要があります。

定款変更の費用

定款変更をすること自体に費用はかかりません。

ただし、会社には商業登記制度があります。
商業登記制度は、商号や会社の信用の維持し商業取引を安全・円滑に行うため、会社法や商法が定めた制度であり、商号に関する重要な事項が商業登記簿謄本に記録されます。
例えば、商業登記簿謄本の目的区においては、その会社の「目的」が下記のように記載されます。
1.経営コンサルティング業務
2.不動産の売買、賃貸借及び仲介業務
3.前各号に付帯する一切の業務

そのため、定款変更により会社の「目的」を変更したのであれば、変更登記をする必要があり、この変更登記に費用がかかってくるのです。
具体的には、登録免許税と司法書士の手数料などが必要になります。
・登録免許税:30,000円(「目的」の変更の場合)
・司法書士の手数料:数万円
・商業登記簿謄本取得費用:数百円

コラム「商業登記簿謄本の取り方と料金」
コラム「商業登記簿謄本の見方」

定款変更の株主総会と議事録

kaishahou
会社における定款変更の一般的な手続について記載しています。

株主総会の特別決議

先ほど述べたように、定款は会社の組織や活動を定める根本規則であり、とても重要な規則です。
そのため、定款変更には株主総会の特別決議が必要とされます(会社法309条2項11号)

株主総会は、定時株主総会であっても臨時株主総会であってもどちらでも問題ありません。

特別決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数を持って行う株主総会決議のことです(会社法309条2項)
この場合においては、以上の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨などの要件を定款で定めることもできます。

株主総会の招集の決定

株主総会を招集する場合、取締役会のない会社においては、取締役は次に掲げる事項を決定しなければなりません(会社法298条1項)
取締役会設置会社においては、取締役会が決定する必要があります(会社法298条4項)
・株主総会の日時及び場所
・株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
・株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
・株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
・その他、法務省令で定める事項

株主総会の招集通知の発送

株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の2週間(一定の場合には1週間)前までに、株主に対してその通知をする必要があります(会社法299条)

株主総会の議事録の作成

株主総会の議事については、議事録を作成しなければなりません(会社法318条)
また、株主総会の日から10年間、議事録を本店に備え置く必要があります。

定款変更の議事録の例です。

第〇号議案 定款一部変更の件
議長は、当社の定款第〇条(目的)を下記のとおり変更したい理由を詳細に説明し、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)をもって、原案どおり承認可決した。

(目的)
第○条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1.○○○
2.○○○
3.前各号に附帯関連する一切の業務

許認可が必要な事業を行おうとする場合、定款の目的にその事業内容が記載されていなければ許認可を受けることができないことがあります。
株主総会の招集の決定
→招集通知の発送
→株主総会の開催
→議事録の作成
→変更登記申請
→変更登記完了
→許認可の申請
→許認可の認定
のように、許認可の認定の前には長い工程があります。
許認可を受けたい日付から逆算して、ゆとりのある定款変更を行いましょう。

原始定款と現行定款

teikan2
会社を設立時に作成した定款は「原始定款」と呼ばれます。
定款変更を行うには、この「原始定款」を直接変更するという訳ではありません。
株主総会の特別決議で定款変更が承認されたのであれば、議事録を作成し、一定の場合は法務局へ登記申請を行い、「原始定款」と一緒に保管することにより、定款が変更され「現行定款」となります。

しかし、定款変更を何度も繰り返していると、いつ何を変更したかの履歴が分かりませんし、現在何が有効で何が無効であるかもわからなくなってしまいます。
そのため、実務的には、現在有効な事項のみが記載された定款を作成します。
これが一般的に言われる「現行定款」です。

定款の表紙に変更年月日や変更内容を記載することによりその履歴を管理することもできます。
例えば、下記のように定款の表紙に記載することがあります。
平成○○年○○月○○日 設立
平成○○年○○月○○日 目的変更
令和○○年○○月○○日 〇〇増員

定款を紛失してしまった場合

会社は、定款をその本店及び支店に備え置かなければなりません(定款の備え置き義務)(会社法31条)
そのため、定款がない場合、会社法に抵触してしまうおそれがあります。

また、会社の目的、発行可能株式総数、譲渡制限の有無、基準日、株主総会の招集や決議方法、役員の員数・選任方法・任期、代表取締役の選定方法、事業年度、配当の基準日・・など定款を見なければ分からないことが数多くあります。
定款を紛失してしまったままでは会社の運営上、様々な問題が生じてしまいます。

M&Aで事業の売却を考えている場合であっても、デューデリジェンスにおいて定款の提出を求められるでしょう。
財務デューデリジェンス(財務DD)でも法務デューデリジェンス(法務DD)でも定款の確認は必要になります。
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

定款を紛失してしまった場合は、下記のような流れで定款を探すか再作成する必要があります。

1.定款を探す

まずは定款がありそうな場所や会社の書類を置いている場所を探してみましょう。
本来であれば定款は重要な書類が置いてある場所に置いていなければならないのですが、見つからないということは普通の書類と一緒に置いてしまっているおそれがあります。
探す範囲を少し広げてみるとよいかもしれません。

2.関与している税理士や司法書士に確認する

後ほど述べますが、会社設立後20年以内であれば「原始定款」を入手することができます。
しかし、「原始定款」を入手できたとしても、その後に定款変更があった場合、「現行定款」がなければ現在何が有効で何が無効であるか分かりません。
定款変更の手続を税理士や司法書士に依頼していたのであれば、その税理士や司法書士が「現行定款」を持っているかもしれません。
そのため、関与している専門家に確認してみるとよいでしょう。

3.公証役場で入手する

会社設立時には、定款を作成するとともに公証人に認証してもらう必要があります(会社法30条)
この会社設立時の定款である「原始定款」の1部は公証役場で保管されています。
公証人は定款を20年間保存しなければならないとされていますので(公証人法施行規則27条)、その定款を認証した公証役場に「原始定款」を請求することにより入手することができます。
20年を大きく過ぎている場合はもう保管されていないと思いますが、少し過ぎたくらいであれば公証役場に一度問い合わせてみてもよいかもしれません。

4.法務局で閲覧する

法務局は、登記申請の受付日から5年間、その登記に提出された定款等の添付書類を保管しています。
定款の添付が必要な変更登記を5年以内にしていれば、その定款を閲覧することが可能になっているようです。
ただし、定款の添付が不要な変更登記もありますし、定款を添付していたとしても定款抜粋を添付していた場合にはその抜粋された部分しか確認することができません。

5.合わせ技で現行定款を作成する

上記の手続を駆使して資料を入手した結果、数年前に有効であった定款は見つかったがその後の変更は反映されていない、ということもよくあります。
先ほど述べたように、定款変更は株主総会決議及びその議事録の作成が必要となっています。
直近数年間の株主総会議事録さえ見つかれば、少し昔の定款にその変更内容を付け加えると「現行定款」が出来上がります。
このように合わせ技で現行定款を作成することもあります。

6.定款を再作成する

それでも見つからない場合、定款を再作成する必要があります。
会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を入手し、その登記事項と矛盾しないような形で定款を再製し、株主総会で承認を受けます。
この再作成した定款については、公証人の認証は必要ありません。
コラム「商業登記簿謄本の取り方と料金」
コラム「商業登記簿謄本の見方」

これまで見てきたように、定款を探したり再作成するには大きな労力が必要となりますので、くれぐれも紛失しないように大事に保管しておきましょう。

税理士法人MFMの財務・税務デューデリジェンス

税理士法人MFMではデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
報酬も業界最安値水準になっています。
税理士法人MFMのサービス案内『財務・税務デューデリジェンス』
詳しいお見積りはお問い合わせ下さい。

大阪・東京の税理士法人MFMグループ
M&A財務デューデリジェンス(財務DD)部門