赤字会社のM&Aで失敗しない調査のポイント

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赤字会社や債務超過会社のM&Aを行う場合、1円で買収し負債をそのまま引き継ぐという形を取るケースがあります。
このようなケースでは、すでに結論が決まっているので調査(デューデリジェンス)はあまり必要でないように思えるかもしれませんが、実際はそうではありません。
なぜなら、赤字会社や債務超過会社は財務的、税務的、労務的に様々な問題を抱えている可能性が高いからです。
買収後に行き当たりばったりに対処するのはリスクが高すぎるため、しっかりと事前に調査(デューデリジェンス)をする必要があるのです。

赤字会社の財務デューデリジェンスの注意点

赤字会社は、生き延びるために粉飾決算をし、決算書の見栄えを良くして銀行などの金融機関からなんとか資金調達をしようと考えることがあります。
粉飾決算の手口は様々で、架空売上の計上、架空在庫の計上、貸倒損失の不計上、簿外債務(隠れ負債)の存在など、財務諸表の様々の勘定科目に影響を与えます。
それらの事実を正確に把握するためには、財務デューデリジェンス(財務DD)において多くの書類の入手、ヒアリング、細かな分析が必要となり、多くの時間を要してしまいます。

コラム「架空売上の計上による粉飾決算の手口と発見方法」

赤字会社の税務デューデリジェンスの注意点

欠損等法人の繰越欠損金の繰越し不適用、譲渡等損失額の損金不算入

赤字会社や債務超過会社には繰越欠損金や含み損がある資産を有していることがありますが、それらを使い節税効果を見込めるかどうかについては慎重な判断が必要です。
具体的には、次の2つの規定の適用を受けるかどうかについての税務デューデリジェンス(税務DD)を実施することになります。
1.特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)
2.特定株主等によって支配された欠損等法人の資産の譲渡等損失額の損金不算入(法人税法60条の3)

コラム「赤字会社のM&Aで節税効果はあるのか??」

仮装経理に基づく還付請求、更正の請求

粉飾決算により過大申告を行っていた場合、「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求」をすることができます。

また、既に行った申告について次のような誤りがあったときに更正を求める「法人税及び地方法人税の確定申告に係る税額等についての更正の請求」という手続もあります。
1.納付すべき税額が多すぎたこと。
2.申告書に記載した翌期へ繰り越す欠損金又は翌期へ繰り越す連結欠損金が少なすぎたこと。
3.申告書に記載した還付税額が少なすぎたこと。

これらの請求の手続をする必要があるのか、またそのためには何が正しい数値でどんな書類が必要なのかなど、考えるだけでも頭が痛くなります。

赤字会社の人事労務デューデリジェンスの注意点

赤字会社では労務的な問題を抱えているケースも多くあります。
財務デューデリジェンスと重なる部分もありますが、未払残業代、退職給付引当金、助成金の不正受給がないかどうかなどについては、黒字会社よりもはるかにリスクが高いため人事労務デューデリジェンス(人事労務DD)において注意をを払って調査する必要があります。

コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

金融機関、仲介会社の方へ

税理士法人MFMでは、金融機関や仲介会社の担当者の方からの財務デューデリジェンス(財務DD)のご相談を無料で受け付けています。買収対象会社の業種により気を付けるべき勘定科目や取引が異なるため、お気軽にご相談ください。

会計事務所、税理士事務所の方へ

初めてM&Aの調査業務をされる会計事務所様や税理士事務所様からのご相談も承っています。クライアント様の情報を頂くことなく財務デューデリジェンスや企業調査を実施させて頂きますので、同業ですが安心してお任せ頂けると思います。決算書や申告書のチェックは先生が実施されて足りないと思われる部分だけお手伝いさせて頂く方法など、柔軟的な対応も可能です。

財務デューデリジェンス・税務デューデリジェンス

M&Aの調査である財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
税理士法人MFMではM&Aのデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
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