財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ

 

富士フイルムホールディングス株式会社「富士ゼロックスの完全子会社化及び特別利益(子会社株式売却益)の計上に関するお知らせ」

 富士フイルムホールディングス株式会社(以下「当社」)は、本日、ゼロックスコーポレーション(その子会社を含み、以下「ゼロックス」)との間で、当社の連結子会社である富士ゼロックス株式会社(以下「富士ゼロックス」)に関連し、ゼロックスが保有する富士ゼロックス株式の25%を取得する旨の契約(以下「本契約」という。)を締結しました。なお、本契約に基づく取引は、当社及びゼロックスそれぞれの取締役会において承認されました。これにより富士ゼロックスは当社の完全子会社になります。

Ⅰ.当社による富士ゼロックスの完全子会社化
1.背景及び目的
 富士ゼロックスは1962年創立の、当社が75%、ゼロックスが25%を出資するドキュメントソリューションカンパニーです。富士ゼロックスは、57年に亘る歴史の中で、複写機に始まりオフィスの生産性を高めるソリューションを提供し続け、売上高1兆円を超える企業へと成長しました。富士ゼロックスは、日本企業と海外企業のジョイントベンチャーにおいて稀有な成功例として知られています。
 富士ゼロックスは、日本を含むアジア・パシフィック市場で事業を展開し、大企業、官公庁等の強固な顧客基盤を有しています。また、ドキュメント業界の中でも優れた製品開発能力と製造技術を保持することで独自の地位を確立しています。
 世界経済の先行きに対する不透明感が増し、ドキュメント業界での競争が激化する現在の状況において、当社は富士ゼロックスを完全子会社化することで、ドキュメント事業の強化に加え、新たな領域での事業拡大に資する施策を機動的且つスピーディーに展開していくことが最良の選択であると判断しました。
 本契約締結に伴い、当社とゼロックスの合弁契約は解消され、富士ゼロックスは当社の100%子会社となります。合弁契約解消後も、富士ゼロックスは、ゼロックスへの製品供給を中長期的に継続します。また、富士ゼロックスは、欧米市場を含むワールドワイドでOEM供給の拡大を可能にする新たな契約をゼロックスと締結しました。富士ゼロックスは高い製品開発能力と製造技術を活かし、プリンタエンジンなどをOEM供給していきます。さらに、ドキュメント市場の周辺領域では、クラウド、AI、IoT技術を活用したデジタル化ソリューション・サービスの展開を加速します。これらに加えて、富士ゼロックスは、当社グループが保有する画像処理技術と、富士ゼロックスの言語処理技術を組み合わせた革新的製品・サービスをメディカル分野等のヘルスケア領域へも展開するなど、成長領域での事業展開を加速させます。

2.本契約の内容及び取引の概要
(1)本契約の内容
 当社は、ゼロックスとの間で、大要、ゼロックスが保有する富士ゼロックス株式25%ならびに関連持分※1を、当社グループが総額2,300百万米ドル(2,530億円※2)で取得する旨の契約を締結しました。
 なお、本契約に基づく上記の取引完了時に、当社は2018年6月18日に提起したゼロックスに対する損害賠償請求訴訟を取り下げます。また、当社グループによる支払いは、当社グループの手許現預金及び外部調達資金により充当します。
※1  主に欧米でレーザープリンター等のOEM供給を行う、ゼロックスと富士ゼロックスの合弁事業であるXerox International Partnersのゼロックス持分51%
※2  本契約締結にあたり、市場環境や経済状況を考慮した上で、富士ゼロックスの企業価値を第三者機関も交え評価しました。なお、為替レートは110円/米ドル前提。

(2)取引の概要
A) 富士ゼロックスが分配可能額の範囲で当社及びゼロックスからそれぞれの持分比率に応じて自己株式の取得を実施。
B) A)実施後のゼロックス保有の富士ゼロックス株式を当社グループ会社が取得。

3.日程

(1)取締役会決議日(当社)2019 年 11 月 5 日
(2)契約締結日2019 年 11 月 5 日
(3)株式取得日2019 年 11 月中を予定

4.富士ゼロックス完全子会社化の効果
 当社は、富士ゼロックスの完全子会社化により、以下の効果が期待できるものと考えております。その結果として、2024年度の当社グループのドキュメント事業の売上高1兆3,000億円の達成を目指します。
・当社グループが保有する画像処理、グラフィック、光学の各技術と、富士ゼロックスの言語処理技術や優れたソリューション提供力など両社の強みを組み合わせることで、メディカル分野の診断レポート生成に活かすなど、成長領域での事業拡大
・商業印刷・パッケージ印刷中心に広範な顧客基盤を有する富士フイルムのグラフィックシステム事業と、デジタル印刷技術に強みを持つ富士ゼロックスのプロダクション事業の販売力、技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルまでのワンストップのソリューションを展開し、業界のデジタル化を牽引
・ゼロックス以外へのOEM先拡大による事業成長と、完全子会社後の迅速な意思決定に基づくドキュメント周辺領域でのビジネス展開加速:2024年度売上目標1,500億円
・富士ゼロックスによるゼロックスに対する製品供給の中長期的な継続
・当社グループ内でのコストシナジー(海外拠点やバックオフィス等重複する機能の統合、共同購買やインフラ共有の促進など)

5.富士フイルムホールディングスの今後の成長戦略
 当社グループはこれまで、ヘルスケア、高機能材料、ドキュメント等の各事業領域において、強力な事業基盤を築くとともに、写真やデジタルカメラなどの既存事業においても市場環境の急激な変化に迅速・的確に対応することで事業構造転換を果たし、成長を続けてきました。
 富士ゼロックスの完全子会社化によって、中期経営計画VISION2019で重点項目として掲げた「ドキュメント事業の抜本的強化」と「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長」を同時に実現し、株主価値の最大化を実現させます。ドキュメント事業のキャッシュフロー創出力を一層高めることで、ヘルスケアや高機能材料を中心とした成長事業への継続的な投資をより確実なものとします。

6.業績への影響
 本契約に基づく取引が完了した場合、富士ゼロックスの完全子会社化後の当社連結業績に、中長期的にわたってプラスに寄与すると見込んでいます。
 富士ゼロックスの完全子会社化により、富士ゼロックスの利益のうち、ゼロックスに帰属していた非支配持分が当社株主帰属当期純利益に取り込まれますが、業績への影響につきましては現在精査中であります。2020年3月期連結業績について業績予想の修正が必要となった際には、速やかに公表いたします。
 なお、下記Ⅱのとおり、当社単独決算において、富士ゼロックスの株式売却益を認識しますが、当社連結決算においては当該売却益は消去されます。

7.将来見通しに関する注意事項
 本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。

Ⅱ.特別利益(子会社株式売却益)の計上
 上記「Ⅰ.2.(2)取引の概要」に記載のとおり、富士ゼロックスは、当社が保有する富士ゼロックス株式の一部を自己株式として取得し、当社はその対価として約2,500億円を受け取ります。この結果、当社は、単独決算において、2020年3月期決算にて、約1,890億円の株式売却益を計上する見込です。なお、上記Ⅰ-6のとおり、当社連結決算において当該売却益は消去されます。

〈ご参考〉
1.富士ゼロックスの概要

(1)名称富士ゼロックス株式会社
(2)所在地東京都港区赤坂九丁目 7 番 3 号
(3)代表者の役職・氏名代表取締役会長・CEO 古森 重隆
代表取締役社長  玉井 光一
(4)事業内容オフィスプロダクト&プリンター事業、プロダクションサービス事業、ソリューション&サービス事業
(5)資本金200 億円
(6)設立年月日1962 年 2 月 20 日
(7)決算期3 月
(8)連結純資産6,641 億円(2019 年 3 月末時点)
(9)連結総資産9,303 億円(2019 年 3 月末時点)
(10)出資比率富士フイルムホールディングス株式会社:75%、Xerox Limited(Xerox Corporation の連結子会社):25%(2019 年 11 月 5 日現在)

2.ゼロックスコーポレーションの概要

(1)名称Xerox Corporation
(2)所在地201 Merritt 7, Norwalk, Connecticut
(3)代表者の役職・氏名Chief Executive Officer
Giovanni (John) Visentin
(4)事業内容印刷機器及び関連サービス
(5)資本金232 百万米ドル
(6)設立年月日1906 年 4 月 18 日
(7)大株主及び持株比率Xerox Holdings Corporation 100.0%
(8)上場会社と当該会社との間の関係資本関係当該会社は連結子会社である Xerox Limited を通じて、当社の連結子会社である富士ゼロックス株式を10,000,000 株(発行済株式及び議決権の 25%)保有しています。
人的関係当該会社の CEO の Giovanni (John) Visentin 、President 兼 COO の Steven J. Bandrowczak、Vice President の Xavier Heiss が当社の連結子会社である富士ゼロックスの取締役を兼任しています。
取引関係当社の連結子会社である富士ゼロックスは当該会社とゼログラフィー製品及びその他の製品に関する技術・商標等のクロスライセンスを結んでいます。
(9)当該会社の最近 3 年間の連結経営成績及び連結財政状態
決算期2016 年 12 月期※12017 年 12 月期2018 年 12 月期
連結純資産11,27711,02410,483
連結総資産18,05115,94614,874
1株当たり連結 ※2純資産51.049.847.4
連結売上高10,77110,2659,830
連結営業利益 ※3568570598
親会社株主に帰属する当期純利益▲471195361
1株当たり連結当期純利益▲1.950.711.40
1株当たり配当金1.241.001.00

(単位:1米ドル(1株当たり純資産、1株当たり当期純利益及び1株当たり配当金)、百万米ドル(その他))
※1 2016年12月31日を効力発生日として、ゼロックスはBusiness Process Outsourcing事業をConduent(NYSE:CNDT)としてスピン・オフさせました。2016年12月期決算期においては、Business Process Outsourcing事業の数値は含まれておりません。
※2 連結純資産を2019年7月時点の発行済株式総数(221,283,933株)で除算することにより算出。
※3 Income Before Income Taxes and Equity Incomeを記載。

以上

コラム「デューデリジェンスは必要なのか」
コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」
コラム「経理担当者から見たM&Aのデューデリジェンスの流れと注意点」

大阪・東京の税理士法人MFMグループ
M&A財務デューデリジェンス(財務DD)部門