財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ(四大監査法人出身の公認会計士在籍)

 

2月26日、株式会社スシローグローバルホールディングスは、株式会社吉野家ホールディングスとの間で、同社の連結子会社である株式会社京樽の発行済株式の全てを取得する株式譲渡契約を締結したと発表。
京樽の資本金額がスシローの資本金の額の100分の10以上となるため特定子会社となる。
株式の取得価額は、守秘義務契約に基づき非公開となっているが、公平性・妥当性を確保するため、第三者によるデューディリジェンスを行い決定している。

株式会社京樽

京樽は1932年(昭和7年)に京都府下京区河原町松原に割烹料理店として創業。
その後100%直営方式によるチェーン展開を推進し、和食業界でいち早く株式公開し1982年(昭和57年)に東証に上場した。
ところがバブル期の不動産投資などによる影響で経営破綻し、1997年(平成9年)に会社更生法の適用を申請。
この時の負債総額は1013億円であった。
1999年(平成11年)に吉野家が京樽に資本参加し、その後子会社化。
吉野家の力を借りて京樽の経営は復活し、2005年(平成17年)にジャスダックに再上場を果たす。
2011年(平成23年)には吉野家の完全子会社となったため上場廃止となった。
そして今回のM&Aによりスシローの完全子会社となる。

京樽は持ち帰り寿司(テイクアウト寿司)市場で高い知名度を誇っている。
一方で、関東中心に回転寿司チェーンの「海鮮三崎港」や気軽にカウンターを利用できる「すし三崎丸」を展開している。
2020年2月末時点では、国内333店舗と海外2店舗、従業員数526名、売上高285億円となっている。
好立地に出店しているなど魅力的な事業となっているが、近年利益率が低迷している中、新型コロナウイルスが業績に影響を及ぼしている。

株式会社吉野家ホールディングス

吉野家は新型コロナウイルスの影響が直撃している。
国内では最初の緊急事態宣言の解除後は売上高は緩やかな回復基調となっているが、営業時間の短縮要請もあり新型コロナウイルスの影響は継続している。
マレーシア、イン ドネシアなどでは依然感染拡大が継続しロックダウンも発生しており売上高へ大きな影響を与えている。
1月に発表した決算短信では、国内外の直営店舗で150店舗規模の閉店を見込んでいるとしている。

一方で、吉野家はグループ全体で構造改革に取り組みコスト削減を進めており、2020年9月~11月の第3四半期連結会計期間では営業利益が黒字に転じている。
また3月1日には、組成金額250億円のコミットメントライン契約を締結したと発表。
今後の事業展開において機動的かつ安定的な資金調達を可能とすることで今後の成長への必要資金を確保するとともに、財務基盤のより一層の安定を図ることを目的としている。
京樽の売却資金とコミットメントラインにより、ポストコロナ時代の新たな事業展開を狙っている。

株式会社スシローグローバルホールディングス

スシローは1984年(昭和59年)に大阪府豊中市に1号店となる「すし太郎」を出店。
2010年(平成22年)にかっぱ寿司を売上高で抜き業界首位に立つ。
2017年(平成29年)に東証一部に上場。本社は大阪府吹田市。

スシローは競争の激しい回転寿司市場で高い営業利益率を誇っている。
50%に迫る高い原価率であるが、1店舗当たりの売上高が多くまた販売費及び一般管理費(販管費)を抑えることにより、他社よりも利益を出せるビジネスモデルとなっている。
スシローは2021年2月時点では東京よりも大阪の方がまだ店舗数が多く、市場シェア拡大余地の大きい首都圏・関東圏を中心に店舗展開をしている回転寿司「海鮮三崎港」及び寿司専門店「すし三崎丸」は、同地域におけるビジネス拡大に際して「京樽」同様に、非常に魅力的な事業であるとしている。

京樽の株式譲渡実行予定日の4月1日に社名を株式会社FOOD & LIFE COMPANIESに変更する予定であり、国内外において一層「食」で社会に貢献していくことを志している。
また、COVID-19感染拡大以降、外食に求められるニーズに大きな変化もあり、TO&D(Take-Out & Delivery)ニーズの高まりなど、変化への対応に迅速に取り組んでいる。

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