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棚卸資産回転期間とは何か

棚卸資産回転期間(たなおろししさんかいてんきかん)とは、商品や製品などの棚卸資産の販売が効率よく行われているかを見る指標であり、仕入や製造を行ってからどのくらいの期間で販売されたかを表した指標です。
在庫回転期間とも言われます。

この棚卸資産回転期間は、一般的には「月数」で表されることが多いですが、生鮮食品を扱うような業種など在庫の回転が早い業種は「日数」で表す方が分かりやすと思います。
「月数」「日数」のどちらの単位を使うかは特に明確なルールはありません。
自社が管理しやすい単位を使っていれば問題ありません。

棚卸資産回転期間の計算式

計算式

棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産÷売上高(月)
棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産÷売上高(日)

棚卸資産

企業会計上の棚卸資産の定義では、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産のほか、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品等も含まれるとされています(棚卸資産会計基準3)。
ただし、棚卸資産回転期間の計算にあたっては、売上高と比較して販売の効率性を分析することから、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品等は除いて計算する方がより正確な計算となります。

上記の計算式の棚卸資産は、理論的には平均値(期首残高と期末残高の平均、又は年平均)を使うのが正しいとされています。
これは、棚卸資産はストック(貸借対照表)の概念であるのに対し、売上高はフロー(損益計算書)の概念であるためです。
異なる概念であるストックとフローとを比較する際には、ストックを平均値とすることによりフロー化し、フローとフローで比較する方がより正確な計算となります。
ただし、実務上は期末時点の棚卸資産の残高のみを使用して計算されることも多くなっていますので、あまり気にしなくてもよいかもしれません。

売上高

実務上、一般的には売上高を用いて回転期間の計算を行います。
しかし理論的に考えると、棚卸資産は原価であるのに対し、売上高は売価ですので、変な計算をしていることになります。
例えば、100円で仕入れたA商品を2倍の200円で販売する取引が毎月繰り返された場合、
A商品の棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産(100円)÷売上高(200円)=0.5ヶ月と計算されてしまいます。
しかし、お分かりのように、正しい分析をするためには回転期間は1ヶ月と計算されるべきです。
原価に乗せた利益が計算をおかしくさせています。
ところが、実務的には売上高を用いて計算する方法が一般的になっています。

この原価と売価の比較という問題点を解決するために、売上高ではなく売上原価を用いて計算する方法もあります。
棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産÷売上原価(月)
この式で計算すると、A商品の棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産(100円)÷売上原価(100円)=1ヶ月と計算されます。

M&Aの財務デューデリジェンス(財務DD)を行う場合、棚卸資産回転期間を計算することにより、在庫が概ね適正かどうかを見ることができます。
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

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棚卸資産回転期間の意味

棚卸資産回転期間は、その期間が短ければ短いほど商品を仕入れてから販売されるまでの時間が短く、売れ筋商品であることを意味します。
また、早く現金として回収されるため、資金繰りも楽になります。
逆にその期間が長い場合は余剰在庫や滞留在庫が存在しているか、不人気商品である可能性を示しています。
そのため、財務分析上、棚卸資産回転期間は短い方がよい評価になります。

資金繰りのみに焦点を当てると、在庫は極力持たず、仕入や製造を行った直後に販売・回収され、回転期間は短い方がよいことになります。
しかし、保有している在庫が少なければ突然の大口の受注に対応できず、在庫を多く抱えているライバル企業に受注を取られてしまうリスクがあります。
また会社の信用問題に影響を及ぼし、今後の取引に波及するおそれもあります。
そのため、回転期間を短くし過ぎるのも問題で、販売機会を逃さないためにも、ある程度の在庫を保有することが必要です。
回転期間は長くなりますが、多くの商品を揃えて臨時的な受注にも対応することで、顧客からの支持を得る戦略を取っている企業もあります。

棚卸資産回転期間の適正な数値は業種によって異なります。
日本政策金融公庫の公表している業種別経営指標では、業種の平均の棚卸資産回転期間は以下のようになっています。
□ 製造業:0.6ヶ月
□ 卸売・小売業:1.3ヶ月
□ 一般飲食店:0.1ヶ月

ただし、例えば同じ製造業であっても食料品製造業か化学工業かでもその期間は異なりますし、企業の経営戦略によっても適正な期間は異なってきます。

M&Aの財務デューデリジェンス(財務DD)において、棚卸資産回転期間が同業他社と比べて長くなっている場合、最も注意しなければならないのは滞留在庫の存在の可能性です。
棚卸資産回転期間分析で異常値が検出された場合、より詳細な検討が必要になります。
コラム「製造業の棚卸資産回転期間の目安」
コラム「製造業の経理担当者から見たデューデリジェンスの注意点」

棚卸資産回転期間の改善方法

棚卸資産回転期間の有名な改善方法として、トヨタ自動車㈱のかんばん方式があります。
かんばん方式では、後工程が前工程に対してかんばん(生産指示書)を出し、その指示にもとづき前工程が製造を行い後工程に納品します。
製造は前工程→後工程という流れですが、かんばん(生産指示書)の流れは逆になっています。
このようにすることにより、各工程における在庫を削減することができます。
「必要なものを必要な時に必要なだけ作る」という考え方にもとづいており、「Just In Time(ジャストインタイム)」や「JIT(ジット)」とも呼ばれています。

棚卸資産回転率とは何か

棚卸資産回転率は、回転期間と同様に商品や製品などの棚卸資産の販売が効率よく行われているかを見る指標であり、棚卸資産が何回転したかを表した指標です。

棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産

回転期間の計算式と比較すると、分母と分子が逆になっています。
そのため、この棚卸資産回転率は高いほど(早く回転するほど)よい評価になります。

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