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仮払金とは何か

仮払金(かりばらいきん)とは、内容や金額が確定していないものを支払った時に使用される勘定科目です。
出張する際などに、必要と見込まれる旅費交通費を事前に概算で従業員に渡し、後日実費精算することがあります。
備品を購入する場合や交際費を支払う場合などにも使われ、従業員に立替払いしてもらうには高額で従業員の負担になってしまうような場面において、企業が仮払を行います。
また、会計入力を行っている際に、内容が不明な支払いがされているケースがあり、その内容が分かるまで仮払金として一旦処理することもあります。

この仮払金は、近い内に精算されまた内容確認が行われることから、貸借対照表では流動資産の区分に計上されることになります。

英語では、Suspense paymentsといいます。

仮払金の精算

出張の場合、後日実費金額を会計・経理部門に報告するとともに旅費交通費や宿泊費などの明細や領収書を提出します。
仮払金として受け取った概算の金額と実際の従業員の支払金額に差異がある場合、仮払金より実際の経費が少なければ従業員は現金を払い戻し、実際の経費の方が多ければ差額を会社側が従業員に払うことになります。
仮払金額と実際にかかった経費の差額を計算し処理することを「精算」といいます。

仮払金の仕訳(仮払金が多かったケース)

取引の内容

東京⇔大阪間の出張に際し、仮払金50,000円を支払う。
実費は新幹線代(片道13,620円×往復)+宿泊費(10,000円×2日)の47,240円であった。

支払時の仕訳

借方貸方
仮払金50,000現金50,000

精算時の仕訳

借方貸方
旅費交通費47,240仮払金50,000
現金2,760

仮払金の仕訳(仮払金が不足したケース)

取引の内容

東京⇔大阪間の出張に際し、仮払金50,000円を支払う。
実費は新幹線代(片道13,620円×往復)+宿泊費(10,000円×3日)の57,240円となった。

支払時の仕訳

借方貸方
仮払金50,000現金50,000

精算時の仕訳

借方貸方
旅費交通費57,240仮払金50,000
現金7,240

仮払金は決算までに整理する

仮払金に対する税務署の見方

仮払金は、内容や金額が確定していないものなので、税務的にも様々な取り扱いが考えられます。
役員や従業員の給与として処理すべきものが仮払金となっており、源泉所得税を徴収しなければならないものかもしれません。
貸付金として処理すべきものが仮払金となっており、利息を取らなければならないものかもしれません。
多額の仮払金が計上されていると、税務署に見て下さいとアピールしているようなものと言っても過言ではありません。

期末において仮払金が残っており決算書に計上されている場合、法人税の申告を行う際に、添付資料として提出する勘定科目内訳明細書に仮払金の内訳を記載して提出する必要があります。
具体的には、仮払金の「相手先の名称(氏名)」「相手先の所在地(住所)」「法人・代表者との関係」「期末現在高」「取引の内容」を記載する必要があります。
残高が残っていると勘定科目内訳明細書の提出も必要ですし、決算期末は仮払金を整理するよい機会なので整理するようにしましょう。

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仮払金に対する金融機関の見方

銀行などの金融機関から見ても仮払金はよいものではありません。
仮払金は使途が不明確な支出であるため、融資した資金が本来の事業目的のために使われていないとみなされるおそれがあります。
決算処理において、他の勘定科目に振り替えるべきものであれば適切に処理を行い、金融機関に説明しにくいような仮払金は精算しておきましょう。

仮払金に対するM&Aの財務デューデリジェンス(財務DD)での見方

財務デューデリジェンス(財務DD)は、M&A(Mergers and Acquisitions)において買収対象企業又は買収対象事業の適正な財政状態や経営成績(収益性)を把握するための手続です。
「仮払金は貸借対照表において資産として計上されているが本当に資産性があるのか」という視点でM&Aの財務デューデリジェンス(財務DD)においてチェックが行われます。
先ほどの例の場合、役員や従業員の給与として処理すべきものが仮払金となってるのであれば、資産性は無く費用として処理すべきものになります。
また、貸付金として処理すべきものが仮払金となっている場合、利息という税務上の問題もありますが、その回収可能性がなければ資産性があるとはいえません。
このようにM&Aにおいても、仮払金は検討が行われる勘定科目の1つです。
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「デューデリジェンスの種類と必要な資格」

仮払金と立替金

立替金とは

立替金(たてかえきん)とは、取引先や従業員などが支払うべき金銭を、一時的に企業が立て替えて支払う場合に使用される勘定科目です。
従業員が支払うべき物品の購入代金や雇用保険料を企業が一時的に立替払いすることがあります。
また、取引先や子会社が物品を購入する際に企業が一括して購入し立替払いすることもあります。
このような場合に一時的に立替金が計上され、後日回収することになります。
コラム「立替金とは。仮払金の仕訳・会計処理」

仮払金と立替金の共通点

仮払金と立替金は、以下の点で共通点があります。
・企業から現金の支払いがある
・一時的に使用される勘定科目であり貸借対照表の流動資産に計上される

仮払金と立替金の相違点

仮払金と立替金は、以下の点で異なります。
・仮払金は事前に内容や金額が明確になっていないのに対し、立替金は事前にその内容や金額が明確です。
・仮払金は後日差額の精算が行われるのに対し、立替金は回収すべき債権です。

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