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財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ(四大監査法人出身の公認会計士在籍)

 
首都圏・近畿圏で有料老人ホームサービスを展開している㈱チャーム・ケア・コーポレーション(大阪)は、介護・看護スタッフの人材派遣・人材紹介事業などを営む㈱グッドパートナーズの株式のすべてを取得すると5月18日に発表しました。
介護・看護スタッフの確保が難しくなる状況の中、人材派遣・人材紹介事業を行う会社をM&A(Mergers and Acquisitions)することにより、人材確保を狙っています。
コラム「M&Aとは。長所と短所」

M&Aの背景

介護業界は業界内での人材獲得競争が激しく、また他の産業と比べて労働条件があまりよくないこともあり、長い間人材不足が続いています。
このようなな経営環境の下、㈱チャーム・ケア・コーポレーションは、有料老人ホームなどを運営しており、その運営しているホーム数は、2017年6月期では38ホーム、2018年6月期では46ホーム、2019年6月期では51ホームとなっており、年々増加しています。
事業規模を拡大させていく中、㈱グッドパートナーズからの人材派遣を今回のM&A以前から受けていました。
特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付有料老人ホームには人員に関する基準(資格要件や配置基準)が定められていることなどもあり、㈱チャーム・ケア・コーポレーションは労働力不足は事業のリスクであるとしています。
また、同社の今後の成長において㈱グッドパートナーズは欠かすことのできない資源を有しているとし、人材確保が大きな課題であったようです。

M&Aの取得価額の検討

売主の経営成績及び財政状態

㈱グッドパートナーズの最近3年間の経営成績及び財政状況は以下のとおりです。

決算期2017 年4月期2018 年4月期2019 年4月期
純資産124,278 千円157,866 千円193,062 千円
総資産304,239 千円467,307 千円507,755 千円
1株当たり純資産34,067.58 円43,274.77 円52,833.51 円
売上高1,153,668 千円1,197,682 千円1,150,262 千円
営業利益49,626 千円43,037 千円42,539 千円
経常利益50,604 千円46,151 千円51,885 千円
当期純利益33,166 千円33,587 千円35,195 千円
1株当たり当期純利益9,091.75 円9,207.19 円9,558.74 円

非上場会社の場合、節税対策がされていることもあり、実際の収益性は外部からでは分かりにくいのが実情ですが、継続して安定した利益を獲得しているのは確かなようです。

取得価額

㈱グッドパートナーズの普通株式680 百万円
アドバイザリー費用等(概算額)37 百万円
合計(概算額)717 百万円

なお、取得価額についてはデュー・ディリジェンス及び株式価値評価等を参考に社内で検討を行い、相手方との交渉を経て決定しているとしています。
コラム「デューデリジェンスとは。」

PER(株価収益率)からの検討

株式投資の場面で、株価が割高か割安かを測る指標としてPER(Price Earnings Ratio)(株価収益率)を用いる場合があります。

PER=時価総額÷当期純利益
または
PER=株価÷1株当期当たり利益(EPS)
で表され、現在の株価が現在の純利益の何年分に相当するかを表す指標です。

PERが高いと株価が割高、低ければ割安と見ることができます。
日本の上場企業の場合、PERは15倍程度となっており、15倍以上だと割高で15倍以下だと割安と言われていますが、業種によってPERが高い業種と低い業種があります。
今回のM&Aでは、PER=取得価額(680百万円※)÷当期純利益(約35M)=約20倍となっています。
※ここではデュー・ディリジェンスなどのアドバイザリー費用等を除いた額を取得価額としています。
日本の平均的な上場企業と比較すると少し割高と見ることができます。

PBR(株価純資産倍率 )からの検討

PERと同様、株式投資の場面で株価が割高か割安かを測る指標としてPBR(Price Book-value Ratio)(株価純資産倍率)を用いることがあります。

PBR=株価総額÷純資産
または
PBR=株価÷1株当たり純資産(BPS)
で表され、現在の株価が現在の純資産の何倍に相当するかを表す指標です。

こちらもPBRが高いと株価が割高、低ければ割安と見ることができます。
純資産は総資産から負債を差し引いた額であり企業の解散価値とも言えます。
一般的には、PBRが1倍以上だと割高で1倍以下だと割安と言われていますが、PBRも業種によりバラツキがあります。
今回のM&Aでは、PBR=取得価額(680百万円)÷純資産(約200M)=約3.5倍となっています。
こちらも日本の平均的な上場企業と比較すると割高になっています。

介護業界と人材確保

介護業界では、規模を拡大し経営の合理化を進めている事業者が増加しています。
現在の経営環境では、規模を拡大していかないと生き残りが難しいのです。
事業規模を拡大するには人材確保が必要になりますし、介護事業所をM&Aするにしても今まで以上に人材確保が必要になります。
逆に人材確保さえできれば、必ず生き残っていけますしこれまで以上に利益を獲得することができます。
介護業界にとって人材確保はとても重要な事であり、将来への投資を抑えるべきようなものではありません。
そのような点から見ると、今回のM&Aは決して高値の買い物ではないのでしょう。

税理士法人MFMの財務・税務デューデリジェンス

M&Aの調査である財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
税務デューデリジェンス(税務DD)は税の専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。
税理士法人MFMではM&Aのデューデリジェンスの経験が豊富な公認会計士・税理士の有資格者によるデューデリジェンスを行っています。
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