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大企業の卸売,小売業のROE(自己資本利益率)の目安

卸売,小売業の同業他社のROEを知りたいけれど知る方法がないと諦めている方がおられるかもしれませんが、経済産業省が企業活動基本調査を実施しておりその調査結果を公表してくれています。
ROE(自己資本利益率)の計算方法については、コラム「ROE(自己資本利益率)の業種別適正水準と改善方法」に記載しています。

その調査結果の中に卸売,小売業の業種別の純資産と当期純利益が開示されています。
自己資本と純資産は少し異なる部分がありますが多くの会社において一致する(ないし近似する)ため、この純資産と当期純利益を用いることによって業種別のROEの目安を簡便的に算定することができます。
この調査の対象は、従業者50人以上かつ資本金又は出資金3,000万円以上の会社となっています。

卸売業全体のROEの平均は10.7%ですが、最も高い業種は「その他の卸売業」を除けば「電気機械器具卸売業」で14.1%となっており、最も低い業種は「産業機械器具卸売業」で2.5%になっています。

小売業全体のROEの平均は7.6%ですが、最も高い業種は「家具・建具・じゅう器小売業」で13.4%となっており、最も低い業種は「飲食料品小売業」で6.0%になっています。

自社の決算書から計算したROEと比較することにより、自社のROEが高いのか低いのかを判断する目安になると思います。

また、M&A(Mergers and Acquisitions)の財務デューデリジェンス(財務DD)を行う場合、ROEを計算することにより、投資の収益性を見ることができます。

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業種ROE
 卸売業10.7%
  511 繊維品卸売業4.9%
  512 衣服・身の回り品卸売業4.9%
  521 農畜産物・水産物卸売業7.4%
  522 食料・飲料卸売業6.9%
  531 建築材料卸売業8.4%
  532 化学製品卸売業12.0%
  533 石油・鉱物卸売業10.5%
  534 鉄鋼製品卸売業12.6%
  535 非鉄金属卸売業10.1%
  536 再生資源卸売業9.1%
  541 産業機械器具卸売業2.5%
  542 自動車卸売業9.8%
  543 電気機械器具卸売業14.1%
  549 その他の機械器具卸売業11.4%
  551 家具・建具・じゅう器等卸売業5.2%
  552 医薬品・化粧品等卸売業14.0%
  553 紙、紙製品卸売業5.9%
  559 その他の卸売業15.3%
 小売業7.6%
  570 織物・衣服・身の回り品小売業8.8%
  580 飲食料品小売業6.0%
  591 自動車・自転車小売業7.0%
  593 機械器具小売業6.7%
  602 家具・建具・じゅう器小売業13.4%
  603 医薬品・化粧品小売業13.0%
  605 燃料小売業8.0%
  609 その他の小売業7.4%
  610 無店舗小売業7.4%

(注)純資産と当期純利益を用いて簡便的に計算しています。
(注)小数第2位を四捨五入しています。
経済産業省「2019年企業活動基本調査確報-平成30年度実績-」から算定。

中小企業の卸売,小売業のROE(自己資本利益率)の目安

中小企業庁が中小企業実態基本調査を実施しておりその調査結果を公表してくれています。
その中に卸売,小売業のROEも開示されており、中小企業の卸売業のROEの平均は8.77%,小売業のROEの平均は14.86%となっています(平成30年確報)。

M&Aを実施する際に他社のROEを分析する場合には、上図の業種別のROEが参考になるでしょう。
ただし、世の中には怪しい会社やビジネス、不正・違法な行為により利益を得ている会社が結構多くあり、粉飾決算をしている会社もあります。
粉飾された決算書のROEを分析しても何の意味もありません。
税理士法人MFMでは、M&Aや投資や取引をされる前にどのような会社なのかを調査するサービスを提供しています。

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ROE(自己資本利益率)の改善方法

ROE改善の方向性

ROEの計算式は3つに分解することができます。
ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
※売上高当期純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高
※総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
※財務レバレッジ = 総資産 ÷ 自己資本

そのため、ROEを上げるには
1.売上高当期純利益率を上げる
2.総資産回転率を上げる
3.財務レバレッジを上げる
の3つの方法があります。

つまり
1.より高付加価値の商品販売・サービス提供を行う
2.より早い投資と回収を行う
3.借入金などの他人資本をより多く利用する
ことによりROEを改善することができます。

補助金の活用でROEは改善できる

付加価値の高い商品・サービスを提供することができれば利益が増加しますが、簡単に高付加価値のビジネスモデルを構築できれば事業経営で苦労することはありません。
ただし、新事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等であれば、事業再構築補助金を受給することにより、付加価値の高い事業分野にシフトして利益を改善させることができます。

補助金額補助率
中小企業(通常枠)100万円以上6,000万円以下2/3
中小企業(卒業枠)※16,000万円超~1億円以下2/3
中堅企業(通常枠)100万円以上8,000万円以下1/2(4,000万円超は1/3)
中堅企業(グローバルV字回復枠)※28,000万円超~1億円以下1/2

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