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受取手形とは何か

受取手形(うけとりてがた)とは、掛取引によって商品の販売又はサービスの提供をした場合に、代金を受領する権利となる証書で手形法の規定により定められているものです。
受取手形は英語では、notes receivableです。

この受取手形は、法律上(手形法上)、約束手形と為替手形に分類されます。
約束手形は、取引をする二者間で用いられ、手形の振出人が名宛人(受取人)に支払うことを約束した手形です。
為替手形は、三者間で用いられ、手形の振出人が、名宛人(支払人)に対し、指図人(受取人)に支払うことを委託した手形です。

手形について深く理解しようと思うと手形法を勉強するのが一番よいのですが、手形法は古くから存在する法律でカタカナ書きとなっているため、とても読みにくい法律です。
例えば、手形法1条では、「為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ」となっています。
民法は2005年(平成17年)に、商法の中で会社法となった部分については2006年(平成18年)に、カタカナ書きから平仮名書きに変わりましたが、手形法についてはいまだカタカナ書きのままになっています。

高度経済成長期は手形取引は右肩上がりでしたが、東京商工リサーチの調査によると、2018年の全国の手形交換高は261兆2,755億円(前年比30.1%減)で2年連続で減少しており、手形交換高がピークだった1990年の4,797兆2,906円に比べ94.5%減と大幅に減少しており約5%の水準に縮小しています。
手形法が現代化されて平仮名書きになる日は果たして来るのでしょうか。

受取手形と支払手形

支払手形(しはらいてがた)とは、掛取引によって商品の販売又はサービスの提供をした場合に、代金を支払う義務となる証書で手形法の規定により定められているものです。
受取手形は売主側から見たものでしたが、支払手形は買主側から見て発生するものです。

受取手形と売掛金

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受取手形も売掛金もどちらも貸借対照表の流動資産に計上されており、後日入金される売上債権であるという点で同じです。
ただし、売掛金は期日に入金されるのを待つしかないのに対し、受取手形は(期日は長いですが)銀行で割り引くことにより現金化でき、また裏書することにより他の支払に充てることができます。
このような違いがあるため、受取手形と売掛金は区別して処理しなければなりません。

現金取引の場合は貸倒れることはありあせんが、掛け取引の場合は回収が滞り最終的に貸倒れてしまうリスクがあります。
ある程度社歴がある会社であれば、貸倒れを経験したことがないという会社はほとんどありません。
その結果、決算書に回収が遅延している売掛金が計上され続けることもあります。
M&A(Mergers and Acquisitions)のデューデリジェンスでは、このような売掛金を発見する手続が必要になります。
売掛金などの売上債権の残高が適正かどうかを見るためには、売上債権回転期間の分析をするのが有効です。
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「売上債権回転期間とは」

受取手形の仕訳

取引の内容

A社はB社に対して商品1,000,000円を手形取引で販売しました。

A社(売主)側の仕訳

売上時
借方貸方
受取手形1,000,000売上1,000,000
手形決済時
借方貸方
預金1,000,000受取手形1,000,000

B社(買主)側の仕訳

仕入時
借方貸方
仕入1,000,000支払手形1,000,000
手形決済時
借方貸方
支払手形1,000,000預金1,000,000

売掛金の仕訳

取引の内容

C社はD社に対して商品1,000,000円を掛け取引で販売しました。

C社(売主)側の仕訳

売上時
借方貸方
売掛金1,000,000売上1,000,000
入金時
借方貸方
預金1,000,000売掛金1,000,000

D社(買主)側の仕訳

仕入時
借方貸方
仕入1,000,000買掛金1,000,000
支払時
借方貸方
買掛金1,000,000預金1,000,000

受取手形記入帳

受取手形記入帳(うけとりてがたきにゅうちょう)とは、受取手形を受け取ったり、割引をしたり、裏書をした場合に記入するための帳簿です。
受取手形は金額が多額になり、しっかりと管理する必要があることから、専用の帳簿が存在しています。
手形の割引や手形の裏書については、受取手形記入帳の右側の「てん末」に記載することにより管理します。

手形の割引

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手形を割引く理由

受取手形は期日が記載されており、その期日に支払いを受けることができます。
ただし、銀行などの金融機関で手形を割引くことにより、期日前であっても支払いを受けることが可能になっています。
資金繰りの関係上、満期まで待てないような場合は手形を割引くことにより資金を調達することができます。

この場合、一定の手数料を金融機関に支払う必要があります。
手形の額面から手数料を割り引かれることから、手形の割引と言われています。
手形の割引は、手形を担保にして融資を受けたものと見ることもできますので、手数料は金利のようなものと考えることができます。
この割引の手数料は各金融機関によって異なります。

手形の割引の流れ

受取手形を銀行などの金融機関に割引依頼すると、必ず割引いてもらえるものではありません。
金融機関で審査を受けることになります。

手形が不渡りとなってしまった場合、割引を依頼した会社が金融機関に返済する必要があるため、受取人の信用力が審査されます。
また、不渡手形となってしまうリスクがあるかどうかを調査するため、支払人の信用力も審査されます。
金融機関から見ると、手形割引については、融資先(受取人)の返済能力に加えて、支払人の返済能力も頼りにすることができます。
通常の融資は融資先の返済能力だけが頼りになるため、手形割引は金融機関から見ると比較的リスクが低い融資になります。

手形の割引の仕訳

借方貸方
預金990,000受取手形1,000,000
手形売却損10,000

手形を割引く際の手数料は手形売却損という勘定勘定で処理します。
この手形売却損は、営業外費用に計上されます。

経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受けて、利息及び割引料、有価証券売却損益その他営業活動以外の原因から生ずる損益であって特別損益に属しないものを記載し、経常利益を計算する(企業会計原則第二「損益計算書原則」二B)。

手形の裏書

手形の裏書をする理由

手形は、その裏面に被裏書人(譲受人)の指定と、裏書人(譲渡人)の記名・押印をすることにより、譲渡することができます。
手形の裏面に必要事項を書くことから、手形の裏書と言われています。
資金繰りの関係上、満期まで待てないような場合は手形の裏書をすることにより代金を支払うことができます。

手形の裏書の流れ

手形の裏書は、手形の割引のような金融機関の手数料は必要ありません。
ただし、被裏書人(譲受人)が、その裏書手形の受け取りを拒否し、他の方法による支払いを求めたような場合は、裏書は成立しません。
手形の裏書をした場合、手形の振出人が被裏書人(譲受人)に代金を支払うことになります。

もし裏書手形が不渡りとなった場合、裏書人(譲渡人)が被裏書人(譲受人)に代金を支払う必要があります。
そのため、手形の裏書譲渡により偶発債務が発生します。
また、裏書人(譲渡人)は、手形の振出人に対して代金を請求する権利が発生します。

手形の裏書の仕訳

直接減額法(一般的な処理方法)
借方貸方
仕入1,000,000受取手形1,000,000

受取手形を直接減額します。

評価勘定法
借方貸方
仕入1,000,000裏書手形1,000,000

受取手形はそのままにしておき、「裏書手形」という勘定科目で処理します。

対象勘定法
借方貸方
仕入1,000,000受取手形1,000,000
手形裏書義務見返1,000,000手形裏書義務1,000,000

受取手形を減額します。
そして、手形の裏書譲渡により発生した偶発債務について「手形裏書義務」という勘定科目で処理するとともに、手形の振出人に対する請求権を「手形裏書義務見返」という勘定科目で処理します。

貸倒引当金の設定の仕訳

先ほど述べたように、受取手形には不渡り(貸倒れ)が発生するリスクがあります。
ここには記載していませんが、貸倒引当金を計上する仕訳も必要になります。
コラム「貸倒引当金の繰入と戻入の仕訳」
コラム「貸倒引当金の計算方法」

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