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財務デューデリジェンス(財務DD)によるM&Aのリスクマネジメントが成功のポイント。
大阪・東京の税理士法人MFMグループ(四大監査法人出身の公認会計士在籍)

 

今回の携帯電話販売代理店のM&Aの概要

2020年2月14日、株式会社スマートバリューはイリオスネット株式会社に対して、移動体情報通信機器の販売代理店事業(以下、モバイル事業)を譲渡することを発表しました。
㈱スマートバリューは大阪本社の東証1部上場会社。
一方、イリオスネット㈱は東京本社の非上場会社。
携帯電話販売代理店業界のM&A(Mergers and Acquisitions)が進む中、上場会社から非上場会社へのモバイル事業の事業譲渡というのが、今回のM&Aの特徴となっています。
コラム「M&Aとは。長所と短所」

M&Aの背景-㈱スマートバリュー-

㈱スマートバリューは、携帯電話が登場した初期から大阪府下においてモバイル事業を展開を開始しました。
1990年6月にNTT関西移動通信株式会社(現:株式会社NTTドコモ)の指定代理店として携帯電話及びNTT自動車電話の販売、取付業務を開始株式会社NTTドコモの一次代理店である株式会社ダイヤモンドテレコム(現:兼松コミュニケーションズ株式会社)とNTTドコモ販売代理店契約を締結することによりモバイル事業を開始。
兼松コミュニケーションズ㈱が一次代理店となっており、㈱スマートバリューは二次代理店となっていました。
2019年6月期において、モバイル事業の売上は約38億円であり連結売上高約77億円のおおよそ半分を占めています。
また、モバイル事業の営業利益約5億円に対し連結営業利益約3億円となっており、全社利益のすべてをモバイル事業が稼いでいました。
従業員数で見ても、モバイル事業の従業員数は116人であり連結の従業員数388人の約30%の従業員を有する事業となっています。
㈱スマートバリューにとってモバイル事業は主力事業であったため、今回のM&Aは社運を賭けた非常に重大な経営判断であったと思われます。

運営する6店舗のドコモショップは以下のようになっていました。
・ドコモショップ岸和田店
・ドコモショップアリオ鳳店
・ドコモショップ中百舌鳥店
・ドコモショップ泉ヶ丘店
・ドコモショップ光明池店
・ドコモショップ深井店

M&Aの背景-イリオスネット㈱-

イリオスネット㈱は、1998年10月に会社を設立し、㈱コシダテックより携帯電話の運営店舗の移管を開始しました。
その後、関東甲信越(京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、山梨県、新潟県)を中心にドコモショップを展開。
今回のM&Aにより2020年4月に関西支社を開設しています。
現在では、関東甲信越(京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、山梨県、新潟県)で29店舗、北海道で1店舗、東北(宮城県)で1店舗、東海(愛知県)で1店舗、関西(大阪府)で 6店舗の店舗運営を行っています(令和2年4月時点)。
売上高は2018年度で約160億円となっており、非上場会社ですがM&Aの売主の上場会社の㈱スマートバリュー以上の事業規模になっています。
また、このイリオスネット㈱は㈱コシダテックのグループ企業となっており、後ろ盾の存在というのもM&Aにとっては大きな意味を持っています。

M&Aの背景-携帯電話販売代理店業界の経営環境-

㈱スマートバリューがM&Aによりモバイル事業を売却しようと決断したのには、以下のような経営環境がありました。

□端末総出荷台数の減少や買い替えサイクルの長期化による販売台数の減少が続き、通信キャリア大手のセカンドブランドやMVNOとの競争が激化。低価格志向が高まるなか、売上が減少していた。

□2019年10月施行の改正電気通信事業法により、通信と端末が分離された料金プランの提供が義務化 されたことなど、成熟 した市場環境において、先行き不透明な状況となってきた。そのため、今後はさらに移動体情報通信機器の市場は競争が激化し、販売スキル・コンプライアンス・人材採用と育成など、幅広い要素で高品質なサービス提供を実践しなければ生き残りは厳しいと判断。

□サービス業務の内容等の取引条件は、㈱NTTドコモや兼松コミュニケーションズ㈱の事業方針等により変更される可能性があり、今後大幅な取引条件等の変更が生じた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。モバイル事業における仕入及び販売の殆どがドコモブランドに依存しているため、株式会社NTTドコモがドコモショップ運営に関する方針、料金プラン、広告宣伝方針等の事業上の施策を変更した場合、並びにドコモブランドのイメージの悪化その他の原因により他の通信キャリアに対してドコモブランドの魅力が相対的に低下した場合、通信キャリア間の競争激化、通信キャリア間のシェアの変化等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

□事業の選択と集中を進め、より収益性が高く、成長可能性の見込めるクラウドソリューション事業を中心に経営資源を集中したい。

今回のM&Aでは、売主側は選択と集中により高付加価値の事業へのシフトを行い、買主側では規模の経済によりスケールメリットを活かした企業活動を可能としています。
携帯電話販売代理店業界ではこのような形のM&Aが多く行われており、弊社が以前に財務デューデリジェンス(財務DD)を手掛けたことのある携帯電話販売代理店のM&Aも同様でした。
売主側にも買主側にもメリットがあるWin-Win(ウィンウィン)関係のM&Aとなっています。

なお、イリオスネット㈱は非上場会社であるため入手可能な情報は少ないのですが、一次代理店である兼松コミュニケーションズ㈱の傘下の代理店同士のM&Aになっていると思われます。

コラム「携帯電話販売代理店のM&Aの動向」
コラム「デューデリジェンスとは」
コラム「M&Aにおいてデューデリジェンスは必要なのか」

税理士法人MFMの財務・税務デューデリジェンス

M&Aの調査である税理士法人MFMでは携帯電話販売代理店のM&Aのデューデリジェンスを手掛けてきました。
財務デューデリジェンス(財務DD)は財務諸表監査の知識と経験があり、財務的なリスクを見抜ける能力に長けている公認会計士に依頼する方が安心です。
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公認会計士・税理士 松浦